サメ映画監督がちゃんと作ったワニ映画『ディノクロコ』
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浜の真砂は尽きてもサメ映画は毎年過剰に供給されているためか、流石にそろそろ飽きがくる。気分転換にワニ映画でもと本作を視聴したらサメとタコが合体した生物が暴れる『シャークトパス』シリーズの監督作品だった。逃げても逃げてもサメが追ってくる人生。最悪の気分だ。
しかし、超絶に酷い作品だった『シャークトパス』と異なり、本作はサメ映画と比して娯楽として耐えうる内容になっていた。サメ映画は物語を破綻させて視聴者を苦しめなければならない法でもあるのだろうか。
アタマのおかしな遺伝子生物学者が100万年前の巨大ワニをDNA操作し、手に負えなくなったワニが湖水浴客に襲い掛かりさらに巨大化。軍隊が出動する事態に発展するも、彼らも哀れな生贄に過ぎなかった――という内容。
あらすじは、ワニをサメに変えたらどこにでもあるB級サメ映画だ。しかし、主人公らしき登場人物があっさり退場し、サメ映画なら即惨殺される人物が大活躍と展開が読めない。まぁ娯楽映画として最低限のことではあるが......。
それでもいけ好かない連中はワニに無残な殺され方をして暴れるワニも無事に退治されるという王道の展開をストレスなく提示してくれる。B級映画なので粗を探そうと思えばいくらでも見つかるが、ビールでも飲みながらボンヤリ観る分には気にならない。B級映画を真面目に視聴したところで誰も幸せにならない。
本作の続編っぽい作品に巨大ワニと巨大トカゲが戦う『ダイナクロコVSスーパーゲイター』という作品があるのだが、こちらは一から十まで驚きの酷さ。監督が違うからか、とにかくやる気を感じさせない演出の連続で泣きたくなってくる。
(文/畑中雄也)