もやもやレビュー

名作タイトルをパクる映画は大体駄作『ディープブルー・ライジング』

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 数少ないサメ映画の傑作『ディープ・ブルー』(1999年)に「ライジング」という文字がくっついていたので「『ダークナイト・ライジング』みたいなものかしら?」と特に検索もせずに視聴したところ、縁もゆかりもない作品だった。文字デザインを無駄に『ディープ・ブルー』に寄せているのが腹立たしい。優れた作品がわざわざ他の名作の名前をパクるなんてつまらない真似はしないので、本作は案の定酷い出来だ。

 北極海の海氷の上に建てられた海洋調査基地が、突然変異したサメの大群に襲われ海中に沈んでしまう。沈没直前に放った救援信号が砕氷船に届き、乗り込もうとするが海中はサメに囲まれている上に、基地の中へ侵入を始め......という内容。
 北極の分厚い海氷を容易く破るような突然変異のサメが発生した理由を地球温暖化で片付ける雑さ。登場人物が襲ってくるサメについて「ニシオンデンザメだ!」と言い出す無駄なサメ知識の披露。調べてみると、北の海に生息するサメのようだが時速は1キロほどと極めて遅く作中のように俊敏な動きをするサメではない。設定が色々と雑である。
 おかげで手に汗握ってしかるべき場面を観ても「バカだなぁ」以上の感情が湧かず、次々と襲われる人々をぼんやりと眺めるだけ。

 基地を浮上させようとする度にサメに食われる登場人物を観るだけで「これ、どうオチをつけるのだろうか?」と訝しんでいると、船からサルベージ用の荷揚げバッグを投下。犠牲者は出たものの何とか基地は浮上することに成功し、船のクレーンで吊り上げられる。
 すると、基地を襲っていたサメも一緒に船に落下してきて暴れるも主人公が酸素ボンベを撃って爆発を起こし、その爆風でサメを海へと吹き飛ばしてエンドロール。今までサメに食われた人たち、完全な犬死である。パニックホラーならではのカタルシスは皆無。これでは単に85分間、淡々と人が食われる様を見るだけである。エンターテイメント性が皆無でサメ映画としても失格だろう。

(文/畑中雄也)

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