もやもやレビュー

グロテスクで悪趣味なサメ映画『シャーク・ナイト』

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 サメ映画の観賞は地雷原を散歩するようなもので、歩く度に酷い目に遭う。それを理解した上で視聴しているのだから、つまらない作品に当たったところで平常運転。つまらなさの中に面白さを見つけるというよく分からないことをしないと心が折れる。そして本作では何も見出せずに心が折れた。ジャケットによると、46種類のサメが出てくるそうだが別にサメの種類のマニアでもなければどれがどれだか分からない。そしてサメ好きとサメ映画好きは別の人種であり、サメ好きならこんな映画キレて視聴をやめているだろう。何より本作に出てくるサメはせいぜい数種類ほどだ。

 主人公の女子大生が大学の仲間7人で湖にバカンスへやってきたところ、そこは凶暴なサメが多く生息する塩水湖だった。そこに地元ダイバーらが助けにきたが、それは殺人ショーの始まりに過ぎず――というあらすじ。生息する人食いサメを使って地元の人間が殺人をショーに仕立て上げるという、パニックホラーというよりサスペンスホラーである。従ってサメ成分は弱め。この手のサスペンスホラーは加害者側の動機がよく分からないので、どうにも観ていて腑に落ちない。「ヤベー奴だから」で納得できるほど酷い世界には住んでいないため、サメが生息する場所に旅行者を放り込む連中がいると言われても困るのだ。そこで躓くから物語に没入できない。いっそ、サメ映画の基本的な構造である内容は「ビキニ!」「血しぶき!」で話を済ませてもらった方が分かりやすい。

 最終的に地元民はサメに殺されるなどして全員退場するのだが、生き残った主人公たちの後ろにサメが迫ってくるオチで終了。最後まで後味が悪い。徹頭徹尾、趣味の悪い作品だと呆れていたら『ファイナル・デスティネーション』シリーズの監督だし、プロデューサーは『ホステル』の人だった。本作のグロテスクさに納得。
 それにしても、サメが出てくるシーンはほとんど日中なのに、どうして『シャーク・ナイト』なのだろう。何から何まで分からない。

(文/畑中雄也)

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