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白黒映画苦手な方に!究極心理サスペンス『バルカン超特急』

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 新しい映画が毎週何本も何本も公開されている現代。白黒映画に触れる機会がだんだん無くなってきたような気がします。古い映画を観たい!という突然の衝動に駆られ、アルフレッド・ヒッチコック監督の『バルカン超特急』を鑑賞。これがまた、白黒映画が苦手な私がのめり込むほどの究極作品でした!

 ロンドン行きの列車という"密室"が舞台。結婚を控えた若い女性アイリス(マーガレット・ロックウッド)が乗車前に頭を負傷し、そこに偶然通りかかった貴婦人のミス・フロイ(メイ・ウィッティ)が手を差し伸べます。乗車席も近かったことから二人は列車内でお茶するなど、楽しい時間を過ごします。その後、アイリスは仮眠をとり、目を覚ますとミス・フロイの姿が見当たりません。どこにもいないミス・フロイを心配したアイリスは車掌や他の乗客たちに聞き込みしますが、「ミス・フロイを見た」という人さえ見つからないのです。さらには、列車に同乗していた医師がアイリスを頭の怪我の後遺症で幻覚を見ていると発言。フロイは単なる幻覚だったのか、それとも失踪したのか......。彼女は唯一味方になってくれているギルバートという男性とともに、真相を追うことに。

 列車という密室の中、一人の女性が失踪。それも他の乗客は目撃していない。まるで『フライトプラン』や『アンノウン』など、近年ヒットした作品の原点にも思えるようなテーマ。ハラハラドキドキの心理戦が、白黒映画というレトロな雰囲気の中で展開されていくのが、私にとってはまったく斬新なものでした。1930年代に作られたとは思えない、衝撃的な結末。あらためてヒッチコックワールドの凄さに圧巻されました。白黒映画に苦手意識を持っている人が見れば、きっと白黒映画の魅力に気づくことができる、そんな素敵な一本です。

(文/トキエス)

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