もやもやレビュー

サメのイメージビデオ『アイス・ジョーズ』

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 竜巻の中から人を襲ったりゾンビになったり、本作に限らず既にサメ映画における「サメ」とは何なのかという疑問を抱く。スキー場で人を襲う化け物がサメである必要性は皆無。おまけに本作の主役であるサメは封印された精霊である。もはやサメが出さえすれば飛びつく、ダボハゼのような人間を狙ったとしか思えない内容だ。そして私は引っ掛かった。

 本作のタイトルやジャケット写真が示すように、サメが雪山で人を襲うという内容。ストーリーという概念がないため他に書きようがない。Z級と称されるトンデモなバカ映画は山ほど存在するが、ここまで無内容な作品は珍しい。サメを封印したトーテムポールが倒れて精霊が暴れ出したという説明はあるが、それ以上の解説はなし。ある意味、サメのイメージビデオ。82分間のうちほとんどサメが人を襲って食べるだけ。精霊なので銃で撃っても何らダメージを与えられず人々はただ逃げ惑うのみ。
 雪山で水着姿のオネーチャンはサービスショット扱いで、次の瞬間には肉塊になるし、サメから逃げ惑う連中は自撮りしているしパニックホラー映画としての緊張感は皆無だ。

 サメ映画におけるテンプレである物理攻撃が効かず、延々と食われる人々。「これ、どうオチをつけるのだろう?」と疑問に思っていたら、主人公っぽい連中が襲われている最中にどこからともなく女性が現れ、トーテムポールを立て直してサメの精霊を封印。立て直した女性はそのままスキーで去っていくし、主人公たちは何があったのか分からない様子。視聴している人間も何があったのか分からない。
 よく分かっていないところに、別の場所にあったトーテムポールが雪崩で再び倒れてサメの精霊が出現する。

 シャレとして観る作品なのだろうと思うが、それで1時間半弱は辛い。物語をきちんと整理したら15分で完結する。イメージビデオとして楽しむにはCGが貧相だ。同好の士と酒を飲みながら悪口を言って視聴したら楽しめるのかも知れないが、シラフの状態で孤独に視聴するには辛すぎた。

(文/畑中雄也)

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