もやもやレビュー

B級映画から雑味を取り除いた『MEGザ・モンスター』

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 大きく口を広げたサメが写ったジャケットを見て、また量産型のバカなサメ映画が製作されたのかと呆れて手に取った本作は、製作費と宣伝費を合わせて3億ドルを投入した超大作だった。
主演にジェイソン・ステイサムを起用し、映像技術も最先端。B級映画特有のチープさは皆無だ。しかし、ストーリーはサメ映画の域を出ないため、どうにも違和感を覚える。雑なCGやサメを倒すための核弾頭も出てこない。そういったアタマの悪そうな舞台装置などがないのに、展開はサメをぶちのめすという内容に収斂する。

 レスキュー隊の一員として原子力潜水艦の乗組員救援に向かったテイラー(ジェイソン・ステイサム)は途中で巨大生物に襲われ、乗組員らを助けるため仲間を置いて脱出する。その5年後、マリアナ海溝で海底探査を行っていた調査艇が巨大生物に襲われる。その巨大生物は仲間の命を奪った存在だと知ったテイラーは乗組員を救助するため現地に向かうが、そこには200万年前に絶滅したはずの全長23メートルのサメ・メガロドンがいて――という内容。
 メガロドンがバンバン登場人物を捕食するのはサメ映画あるあるだ。主人公が頑張ってもサメが死なないという内容も既視感たっぷり。メガロドンに傷を負わせたことでサメの群れがメガロドンに襲い掛かり食い殺すというオチはサメ映画らしい荒唐無稽さだが、3憶ドルの使い道が本作でよかったのだろうかと、他人の金ながら考え込んでしまう。

 振り返ればバカ丸出しな内容にも関わらず視聴中はツッコミを入れることなく気付くとエンドロールが流れていた。別につまらない訳ではない。似たような内容を散々観たせいで特に面白いとも思わないが。内容がモロB級映画なのに、B級映画特有の雑味がないため随分とあっさりした作品だ。ジャンク感がない。これを上品ととらえるか味気ないととらえるか、視聴者の感性によるところが大きいのだろうが、果たして上品な映画を観たい人間がサメ映画を選択するだろうか。個人的にはもっとボンクラな雰囲気をプンプンに匂わせた作品が好みだ。

(文/畑中雄也)

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