もやもやレビュー

悲しい現実の先に光が見える『もうひとりの息子』

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『そして父になる』が公開された2013年、フランスでも子どもの取り違えをテーマにした作品が公開されていたのをご存知だろうか。前者の作品は親からの視点で描かれているのに対し、『もうひとりの息子』は子どもの視点で描かれており、さらには、イスラエル人とパレスチナ人という対立構造も下敷きにある。第25回東京国際映画祭にて東京サクラグランプリと最優秀監督賞を受賞した作品である。

主人公はイスラエルで暮らすフランス系ユダヤ人ヨセフ(ジュール・シトリュク)。18歳を迎えた彼は、軍に入隊するための診断を受けるも、一緒に暮らしている親と血の繋がりがないことが発覚。当時は湾岸戦争のまっただなか。混乱していた病院の手違いで、実の息子ヨセフと他人の子を取り違えてしまっていたのだ...。

さらには実の両親が、高さ9mの分離壁に隔てられたパレスチナに暮らす人間ということもわかり、両親は悲嘆に暮れる。当時の病院で両家族が顔を合わせるも、紛争、宗教が絡み合い、双方は対立し言い合うばかり。

当事者でもある二人の息子たちは運命に翻弄されながらも、少しずつ運命を必死に受け入れようともがく。悲しく重い作品だが、最後に辿りつく答に光と希望を感じることができる。

(文/峰典子)

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