もやもやレビュー

MVとして見よう。『君と100回目の恋』

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 アイドル的な売り方をした女性シンガーが出演する映画は大体、単なるMVになると巷で言われるよう、本作を映画として視聴した場合、いろいろな面でキツくなる。「金のかかったプロモーションビデオだなぁ」程度に観ることが精神衛生上よろしい。miwaをはじめとした坂口健太郎ら主演の棒読みな演技に憤慨せずに済むから。

 本作の大まかな流れは、大学3年生の陸(坂口健太郎)がレコード型のタイムリープ装置を使い幼馴染の葵海(miwa)が死ぬ未来を改変しようと頑張る、というもの。100回タイムリープしても未来は改変されず、陸はタイムリープを続け永遠に葵海と生きようとするが葵海はレコードを破壊し自らの死を確定させる。
 作中、葵海と陸が相思相愛だと知りデート&イチャイチャで過ごしたので、この落差は泣きの装置としては凡庸だ。陸の叔父が妻を亡くし、その事実を改変しようとしても不可能だったことから、葵海の死で物語を終えるよりないだろうと途中で気付く。miwaや坂口健太郎のファンなら没入して気にならないのかも知れないが、それ以外の人間はダレるのではないだろうか。
 そもそも付き合っていない状態から既に異様に距離感が近い2人が、互いの好意を知って付き合い始めても、恋愛の高揚感を表現しきれていない。恋愛映画としての出来も首をひねる。歌手に演技力を期待しても仕方がないのだろうが、もっとどうにかできないものだったのか。

 エンディングを眺めながら、劇中歌はすべてmiwa。「20年近く前の大学生でさえバンドやる奴らなんて絶滅危惧種だったのに、どうして今時の大学生である主人公たちはバンド活動している設定なのだろう?」という疑問は容易に氷解する。歌手を主演に起用するのだから、バンド活動するしかない。内容云々よりも先にキャスト決め打ちして映画作ったのではないだろうかと、今日もやる気皆無な映画を観て涙する。

(文/畑中雄也)

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