アクション映画に推理の尺は結構です『ラスト・ウィッチ・ハンター』
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- ヴィン・ディーゼル,ローズ・レスリー,イライジャ・ウッド,ジュリー・エンゲルブレヒト,マイケル・ケイン,ブレック・アイズナー
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漫画の実写化を観て気が触れそうになったり、20代が高校生の制服を着て織りなす学園恋愛モノに辟易したり、映画を視聴することが苦行と変わりなくなりつつあった。映画は娯楽であると再確認しようとアクション映画に手を伸ばした結果、うっかり引いてしまったのが本作だ。「ヴィン・ディーゼルが主演だし、そう酷いことになるまい」と思った自分を殴りたくなる。2019年に入ってからまだ1本も良作に出会っていない。
あらすじは、主人公のコールダー(ヴィン・ディーゼル)が800年前に倒した魔女の呪いによって不老不死となり、現代に至るまで魔女と戦い続けてきた。ある日、36代目の相棒である神父のドーランが何者かに殺害され、37代目ドーランと捜査に乗り出し、犯人はコールダーが800年前に倒した魔女であることを突き止める――というもの。
見慣れたB級映画のようなショボいCGではないし、ストーリーも練られていた。主人公が乗り回すアストンマーチンは痺れるほどカッコいい。クソ映画に慣らされていた身としてはそれだけで及第点だ。しかし、何故か退屈感がぬぐえない。
アクション映画を観るはずだったのに、謎解きに結構な尺が使われている。頭を空にして爽快感を得たいから観ているのに。
そして何より、肝心のアクションが単調だ。CGの魔女の動きに問題はない。主人公の動きが剣で突いたり振り回したりするだけで、眠気が襲ってくる。マッチョな男のキレッキレな動きを観たいがために2時間近い時間も腰を下ろしているのだ。それが推理ごっこ&単調な棒キレの振り回しだと詐欺に近い。アクション映画は動きで観客を魅了することが売りだと思っていたが、切り口が斬新すぎて欠伸が出る。仕方がないので『ワイルド・スピード』でも観ることにしよう。
(文/畑中雄也)