もやもやレビュー

淡々と続く日常こそ詩なのだ『パターソン』

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2018年、イギリスで詩集の売り上げが過去最高を記録したという記事を読んだ。総計130万部が売れたほか、購買した層の41%は13歳から22歳という統計も。若い英国男子女子は詩を楽しんでいるのか。

その裏には何があるかというと、政治的、経済的に不安定な時代に、言葉の力、詩の力が見直されているのでは、とは専門家の見解。言葉のフィルターを通すと、世界が変わって見えるのかもしれない。もしかすると、若者に人気のある詩人が登場して、その人が詩そのものの価値を高めているのかもしれないけれど。

このニュースを見て思い出したのが『パターソン』だった。『コーヒー&シガレッツ』などで知られる名匠ジム・ジャームッシュ監督の長編作。パターソンとはニュージャージーにある地名。そこで暮らすバス運転手の男、パターソン(地名と同じ名前)を演じるのは、『スター・ウォーズ』カイロ・レン役でおなじみのアダム・ドライバー。

美人な妻と愛犬とこじんまりとした家で暮らし、趣味で詩を書く男の粛々と繰り返される日常が描かれている。「映える」要素はない。しかし、そんな中で、ささやかな変化や発見にニヤリとさせられる。まるで映画そのものが一編の詩を読んでいるようである。

(文/峰典子)

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