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『ローズマリーの赤ちゃん』から学ぶ、スマートな断り方

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ワケあり物件とは、二年経ってしまえば入居者に教える義務がないとされているのは有名なお話。さらには二人目以降の入居者に伝えることは義務づけられていないのだとか。『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)は、そんなワケあり物件に住んでしまった夫婦のお話です。

新婚のローズマリー(ミア・ファーロー)とガイ(ジョン・カサヴェテス)はたっぷりの幸せと共にとあるアパートへ越してきます。ところが二人の間に赤ちゃんができると、周りで死が相次ぐなど、奇妙な事件が勃発。中でも悪巧みしていそうなのは、かなりの頻度でローズマリーとガイの自宅を訪れるお節介なご近所夫婦、ミニー(ルース・ゴードン)とローマン(シドニー・ブラックマー)。

彼らはローズマリーの妊娠発覚後「医者を変えましょう」と勝手に自分たちの行きつけのお医者さんにローズマリーを行かせたり、毎朝得体の知れないドリンクを飲ませたり...なのにローズマリーが腹痛を訴えると、なぜやら対処してくれなかったり。うむ、怪しい。自分の赤子が危険にさらされているのでは、と勘づいたローズマリーはガイに助けを求めますが、なんと彼すらも助けてくれません。不信感に包まれたローズマリーは、ミニーのお節介を断るという立派な防御体制に出ます。

それは、ローズマリーがとあるパーティの準備をしているときのこと。
まず「手伝うわ」というミニーに、さらりと「あなたにはとてもお世話になっているから、大丈夫」と相手を立てながら丁寧に断ります。その後のミニーの「ドリンクをお飲みなさい」という指示には、正直に「いまはいいわ。気が乗らないの」と返答しつつも「あとですぐ飲みますから」としっかりフォロー。ミニーはこれ以上口にできなくなり、静かに家をあとにします。この追い返し方が非常に滑らかでお見事なのです。(1)相手を立てる、(2)フォローの言葉をいれる。この二つさえ覚えておけば、あなたも断り上手。

それにしても、鑑賞後にもう一度オープニングを観てみると、キャストの名前がピンクの筆記体で綴られていることに身震いします。冷や汗をぽたぽた垂らしながら鑑賞すると、夏の暑さも少しは忘れられるかもしれません。

(文/鈴木未来)

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