ツッコミどころが多い時系列ミックス映画。『シャッフル』
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2007年のアメリカ映画『シャッフル』。サンドラ・ブロック主演のサスペンス作品なのですが、「え、この映画本当に10年以上前のものなの?」と疑ってしまうくらい、今のサンドラ・ブロックと変わりがない!! しかしそんな衝撃すぎる "サンドラ・ブロック年取らない説" がどうでもよくなってしまうほど、ツッコミどころが半端ない作品でしたのでご紹介していきたいと思います。
主人公は愛する娘たちと幸せに暮らしていたリンダ(サンドラ・ブロック)。彼女のもとに突如、夫のジムが交通事故で即死したという連絡が入ります。悲しみに暮れながらも眠りについたリンダ。しかし、彼女が目を覚ますと、ジムが元気に生きていたのです! しかし、次の日目を覚ますとジムの葬儀が行われ、また次の日目を覚ますと、ジムとの普通の日......。リンダはようやく、ジムがなくなった前後の一週間の曜日が入れ替わっていることに気づき、整理していきます。
曜日が入れ替わっているという時系列ミックスな描写と、主人公が必死にヒントをかき集めていく点、なんだか名作『メメント』を思い出してしまいました。しかし、『メメント』と比べたら月とスッポンというほどツッコミどころが満載。まず火曜日、娘の一人がガラスに激突し、顔に大怪我を負ってしまいます。そして土曜日(この日はジムの葬儀の日)、リンダはなんと医師と警察に精神障害と虐待を疑われ病院に拘束されてしまうのです。しかも警察に通報したのは、リンダの母。リンダの母は「だってあの子の傷...」とガラスに激突した娘の方を見ます。
葬儀で悲しみにくれる未亡人に、精神障害だとか、虐待だとか...ひどすぎるシチュエーションに絶句......というよりも「?」が頭に浮かびました。まず、リンダは子供のことを第一に考える優しいママとして描かれています。虐待を疑われるような描写も一切ない。そして子供の怪我、どう見ても虐待の怪我じゃないというか。明らかに顔からガラスに追突した怪我なんです。なのに、その怪我のせいで我が娘が孫に虐待してると疑う......なんだこれ。祖母ひどすぎねえか。これまでめちゃんこ良い母親だったじゃないか!と、今のはほんの一例ですが、こういったツッコミどころがたくさんあるのです。
ちなみに原題は『Premonition』で「予感」や「予兆」を意味します。エンドロールの頃には、『シャッフル』という邦題も、観客が混乱する原因の一つなのかも? なんて思っちゃいました。真実を解き明かすヒントと、ツッコミどころが同じくらいある本作。一種の推理映画としてはピッタリ。でも推理めっちゃ好き!という映画ファンにはおすすめできないかもです。
(文/トキエス)