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鼻がツンとして、胸があたたまる。『100歳の少年と12通の手紙』

100歳の少年と12通の手紙 [DVD]
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森の動物たちは冬眠し、木の葉は落ちて地面に積もる。人間は分厚いコートを纏い、窓からは冷たい隙間風が吹く。生物の動きがスローになる秋から冬は、もの哀しく、誰しもがちょっぴりセンチメンタルになってしまう。そんな日は、まるでココアみたいな身も心もぽかぽかする映画が見たい。

フランス・ベルギー、カナダの合作映画で2009年に公開された『100歳の少年と12通の手紙』は、フランスの劇作家エリック=エマニュエル・シュミットの小説をシュミット自身の監督によって映画化した作品である。

白血病で入院中の少年オスカーが主人公。わずか10歳にして病と格闘している彼だが、余命は残りわずか。その厳しい状況を両親は受け入れられず、息子と向き合うことができない。「誰も本当のことを話してくれない」と、心を閉ざしてしまうオスカー。そんな中で唯一、笑顔を見せることができた相手は、口が悪くズケズケとした物言いの、ピザ屋の女主人ローズ。それを知った医者は、ローズに病院に通ってくれるよう頼み込む。ローズはそれを断りきれず......。

100歳の少年とは不思議なタイトルだが、その鍵は「手紙」にある。ローズはオスカーに、1日を10年とし、毎日神さま宛に手紙を書くよう指示するのである。短い時間でも一生を味わわせてあげたいというアイディアなのだが、真摯に取り組むオスカーに、人生の素晴らしさや儚さを、いやというほど考えさせられる。荒んだニュースが多かった近頃だが、ピュアな演技に心が洗われるよう。

(文/峰典子)

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