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理想の上司像がここにある!『エリン・ブロコビッチ』

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母親が50代に突入してから今年で3年が経ちます。そんな母親曰く、50代になると、クラシック音楽が何よりも心に沁みるそうです。母親とは大きくかけ離れたとある大女優も昨年50歳を迎えています。それはジュリア・ロバーツ。全盛期では顔が映ればヒット作が予感できた彼女も、50代を皮切りにクラシック生活をはじめるのだろうか。

『エリン・ブロコビッチ』(2000)は、ジュリア・ロバーツがちょうどハリウッド映画で引っ張り凧だったころに公開された作品のひとつ。子供は3人。バツは2。法に関する知識は0。そんなエリンが、衝突事故に遭ったことをきっかけに、弁護士事務所で働きはじめることに。入社して早々に怪しい書類を見つけた彼女。それは、大手エネルギー会社PG&Eの水質汚染がもみ消されていたことを暴く、大きな手掛かりでした。PG&Eの悪事を理由に被害を受けた住民たちをなんとか救おうと、エリンは立ち上がります。自分という人間を決して犠牲にせず、必要であれば罵声を浴びせ、被害者たちのために必死に駆け回るエリンの熱意は明日からでも自分の原動力にしたいものです。でも、彼女が務める弁護士事務所の社長であるマスリー(アルバート・フィニー)の上司っぷりも、ずいぶん理想的に映りました。

そもそもエリンが新たな道を切り開いたのも、マスリーが最初にチャンスを与えてくれたから。自腹を切ってリスクを背負う姿からは、結果は何であれ踏み込む度胸が据わっていることが伺えます。エリンが働きすぎると、小切手といっしょに「子守を雇え、外を見ろ、元気を出せ」と綴った手紙を添えてくれます。完璧です!働き狂っているとき、やさしい言葉とともに報酬まで添えられたもんなら、滝のように涙が流れてしまいそうです。多額のケースに頭を悩ませつつも、そんな彼の飾らない思いやりに目を向けながらほっこりする楽しみ方もひとつありだと思います。

経歴、学歴構わず見下す姿勢は持たず、上司という立場でありながらも決して人間らしい思いやりを捨てず、努力に相当する報酬をちゃんと与えてくれるマスリー。彼をじっくり観察すると、じぶんの上司っぷりにも素敵な変化が見られるかも。

(文/鈴木未来)

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