もやもやレビュー

防犯カメラの限界を知る。『ATM』

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 筆者がドイツに滞在していた時のこと。スタバ店内で真新しいiPhoneを盗まれてしまい、店員さんに防犯カメラ確認をお願いするも「これはカモフラージュでつけているだけなの」と言われ唖然とした記憶があります。「防犯カメラ」というワードを聞くと、なんだか安心してしまいますが、世の中には、前述したようなカモフラージュ的なものや動作確認できないものもたくさん。もし稼働していても、一体どのくらい犯罪を防ぐことができるのでしょう。シチュエーションスリラー『ATM』を見ながらふとそんなことを思ってしまいました。

 クリスマスパーティーの夜、投資会社に勤めるデイビッドとエミリー、コーリーの3人は現金を降ろすため、駐車場の中に孤立したATMボックスに立ち寄ります。そのボックスはキャッシュカードがないと出入りできないという厳重なセキュリティ。防犯カメラももちろん設置されています。3人がATMから去ろうとすると、目の前にフードを深く被った一人の男が仁王立ちしていました。さらにその男は、近づいてきたホームレスを容赦なく撲殺。3人はあまりの恐怖にATMボックス内から出られなくなってしまいます。極寒の中、携帯もない。極限状態の中、彼らはなんとか謎の男がいないうちに脱出を試みます。

 とりあえず助けを呼ぶためにデイビッドはATM機を殴り、蹴りまくる。それはすべて防犯カメラに録画されています。本作の防犯カメラは録画機能はあっても録音機能はないようで、あきらかにトチ狂った一人の男がボックス内で荒れているようにしか見えないのです。また、その謎の男はATMボックスから一定の距離を保ったままあまり近づいてこない......大半の人はきっと男の行動から、防犯カメラに映らないようにしているのかなと予測できると思います。極限状態の中での仲間割れや主人公の勇敢な行動、ちょっとしたラブストーリーが繰り広げられていますが、そんなことがどうでもよくなるほど、防犯カメラの機能性問題について深く考えてしまった作品です。

(文/トキエス)

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