感情をぶつけまくる刑事を冷静に見てしまう、そんな作品。『クリーピー 偽りの隣人』
- 『クリーピー 偽りの隣人[DVD]』
- 西島秀俊,竹内結子,川口春奈,東出昌大,香川照之,藤野涼子,戸田昌宏,馬場徹,最所美咲,池田道枝,佐藤直子,笹野高史,黒沢清
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お酒の席で、やたらと酔っ払ってしまう人を見たり、お化け屋敷にいって異常なほどびっくりしている人を見ると、逆に冷静になってしまう。そんな経験を持つ人は少なくないでしょう。一体何なのかわからないこの現象に、映画でも見舞われてしまいましたのでご紹介します。2015年の邦画『クリーピー 偽りの隣人』。本作は、日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕氏の小説を映画化したもの。気持ち悪い隣人を演じたのは香川照之。そして彼の脇を固めるのは西島秀俊、竹内結子、東出昌大など豪華キャストです。
主人公は元刑事で犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)。彼はあることがきっかけで刑事を辞め、新しい家へ妻・康子(竹内結子)と愛犬とともに心機一転引越してきました。仕事も大学で心理学を教えているため、刑事のときよりも長閑な生活を送れるように。そんな中、刑事時代の同僚である野上(東出昌大)から6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼された高倉は、興味本位で事件の真相をたどることに。一方、新しく引っ越した家の隣人・西野(香川照之)は異常な雰囲気を持っているため、康子は違和感を感じるように。また、西野が娘だと紹介してきた澪が、突然高倉に「あの人はお父さんじゃありません」と打ち明けるのでした。
本作の見どころ......というよりも気になって気になってしょうがないのが、感情的すぎる高倉の行動。一家失踪事件で唯一失踪しなかった女性への聞き込みでも、肩をつかんで無理やり事情を聞こうとしたり、康子が見知らぬ人と電話しているのを見ると「居間でできない電話なのか」と問い詰めたり。熱血刑事を通り越してしまうほどの感情の高ぶりを見ると、なぜか観客が冷静になってしまう。そんな作品でした。原作と少し異なるストーリーが賛否両論ありますが「変な人を客観視したい」「鳥肌が立つ作品を純粋に楽しみたい」という方にオススメの一本です。
(文/トキエス)