もやもやレビュー

強盗犯の暑く長い1日『狼たちの午後』

狼たちの午後 [Blu-ray]
『狼たちの午後 [Blu-ray]』
アル・パチーノ,ジョン・カザール,チャールズ・ダーニング,クリス・サランドン,キャロル・ケイン,シドニー・ルメット
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酷暑の夏である。某アイスは生産が間に合わず出荷停止。ビールは売れ行き好調だという。エアコン嫌いの人もこの暑さではそういうわけにもいかず、フル稼動させる。とたんに故障が多発で、修理が追いつかないとか。これじゃ日本中が暑さでまいっちまう。

この映画の舞台も、うだるような暑さのブルックリン。無鉄砲な二人組、ソニー(アル・パチーノ)とサル(ジョン・カザール)は、大した計画もなく小さな銀行を襲う。事はそううまく運ばず、想像の斜めを滑り落ちていく。いつしか銀行の周りには熱狂する野次馬と、取り囲む警官隊、騒ぎ立てるマスコミの姿が......。,なぜか人質も怖がってくれない(笑)。1972年、実際に起きた事件なのだが、信じられないような展開に、本当にこんな事件があったのかと驚く。
事件の犯人の容姿がアル・パチーノに似ていたため、パチーノが主演に選ばれたという。原題は「Dog Day Afternoon」。Dog Day とは暑い夏を表す言葉で、盛夏という日本語に近い。なぜ犬?と思い理由を調べてみると、星座が元になっているようだ。北半球では、7月3日から8月11日ごろになると、おおいぬ座で最も明るい星であるシリウスが太陽と一緒に昇る。毎年この期間が一番暑くなるのは、きっとおおいぬ座のせいだ、ということから 「dog day」と名付けられ、今でもその名残が残っているという曰くでした。

シリアスなドラマでありながら、どこかユーモラスで笑ってしまう傑作。休日の午後、ビールやアイスをお供に、ダラダラと寝そべりながら観たい。

(文/峰典子)

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