もやもやレビュー

10時間の長旅へいざ参る『ロード・オブ・ザ・リング』

ロード・オブ・ザ・リング [Blu-ray]
『ロード・オブ・ザ・リング [Blu-ray]』
イライジャ・ウッド,イアン・マッケラン,リヴ・タイラー,ヴィゴ・モーテンセン,ショーン・アスティン,ケイト・ブランシェット,ジョン・リス=デイヴィス,ビリー・ボイド,ドミニク・モナハン,オーランド・ブルーム
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登山のようなストイックな魅力が長編小説にはある。気力がもたずに途中でめげてしまったり、進展しない話にうんざりし飛ばし読みすることもある。せめて出先で少しずつと思っていても、重くてカバンから出してしまう。久しぶりにページを開いてみたら人物設定をすっかり忘れている...。もちろんそうでない時も沢山あって、するすると水を吸うように辞書並みの上下巻を読み終わることもある。ゴールにあるのは心地よい達成感。読んだ読んだ、あー読んだ。

「馬には乗ってみよ 人には添うてみよ」という諺は、何事も経験しなくては本当のところはわからないのだから、やりもしないでつべこべ言うのはやめろ、ということを言い表している。何作にも及ぶシリーズものの映画も同様なのかもしれない。「観たい気持ちはあるけど長いんでしょ。それに面白いか分からないし」なんて思ってみたりして。でも、触れてみないと分からないのである。小説しかり、映画しかり。

『ロード・オブ・ザ・リング』は全三部作で「〜旅の仲間」「〜二つの塔」「〜王の帰還と」と続く。しかも三本合わせて10時間。さらにはエピソード0にあたる『ホビットの冒険』を、同じく三部作の「ホビットシリーズ」として映画化している。うんざりしただろうか。ところが...、わたしは久しぶりに見直したら(おそらく映画館で見た以来)、面白くって止まらなくなり一週間で全ラインナップをがっついてしまった。なぜ今ごろになってと自分に問いたいくらいだが、つべこべ言わずに直感に頼るのがやはり正解。そこにはルールなどないのだから。いざゆかん、指輪物語へ。

(文/峰典子)

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