もやもやレビュー

LGBTについて深く考えてみる。『ミルク』

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 レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとり、性的少数派を表すワード、LGBT。大阪市でLGBTのパートナーシップ宣言制度導入を検討されていたりと、日本でも徐々にLGBTを耳にするようになりました。しかしながら、日本では理解してもらえず海外移住を決断したというLGBTの方も少なくないよう。今回は、今だからこそ日本人に見てもらいたい作品『ミルク』(2008)をご紹介。

 舞台は1970年代のアメリカ。まだまだLGBTに対して差別が巻き起こっていた時代。保険業界で働いていたミルク(ショーン・ペン)は、スコット(ジェームズ・フランコ)と恋に落ち、サンフランシスコに移住します。二人は同性愛者であることを公言し、小さなカメラ店を開店。いつしかそこはヒッピーや同性愛者の溜まり場となり、ミルクは同性愛者を軽蔑する保守派に対抗し、新しい商工会を結成します。

 本作は、アメリカで初めてゲイであることを公表し、公職に就いた政治家ハーヴェイ・ミルクの伝記。スリラー作品『ミスティック・リバー』(2003)ではあんなに復讐心に駆られる怖い役を演じていたショーン・ペンが、見事に心優しいゲイを好演。彼の演技にまず魅了されてしまう作品でもあります。また、ショーンのすばらしい演技力があったからこそ、観客がLGBTでなくてもミルクに共感してしまうのだと思います。

 本作から伝わってくるのは、同性愛者だろうと何であろうとミルクは一人の心優しい人間であるということ。そんな彼を「同性愛者だから」ということだけで、差別してしまっていいのだろうか。エンドロールの時には深く考えさせられます。今だからこそ、この名作はもっともっと多くの人に観られるべきだと感じました。

(文/トキエス)

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