もやもやレビュー

極限状態を体験して、戦争について改めて考える。『ダンケルク』

ダンケルク ブルーレイ&DVDセット(3枚組) [Blu-ray]
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 第90回アカデミー賞3部門受賞の2017年作品『ダンケルク』。クリストファー・ノーランがメガフォンをとり、第二次世界大戦での"ダンケルクの大撤退"を描いています。本作は、戦争中の極限状態をサウンドや視覚効果やサウンドでうまく表現し、観客も一緒に極限状態になってしまう、いわば体感型作品なのです。

 舞台は1940年代、第二次世界大戦初期。イギリスをはじめ、フランス、ベルギー、カナダからなる連合軍の将兵たちは、フランスのダンケルク海岸にてドイツ軍に包囲されていました。ドイツ軍からの襲撃を逃れ生き残った若き兵士であるトミー(フィオン・ホワイトヘッド)は、命がけで救助船が来る海岸へと向かいます。そこには多くの兵士の列ができていました。いつどこでドイツ軍が襲撃してくるかわからない状況。襲撃が始まれば、頭を伏せて横になるしかできない。そんな状況の中、トミーはギブソンという名の兵士とともに生き残り、負傷者を担架にのせ、救助船に乗り込もうとしていました。なんとか船に乗ることができたものの、二人は船から降ろされてしまいます。しかし彼らが降ろされた救助船は襲撃により沈没。そこで二人はアレックス(ハリー・スタイルズ)を助け出します。

 一方、イギリス軍から救助要請され民間の船もダンケルクへと向かいます。ドーソン(マーク・ライアンス)と息子のピーター、そしてピーターの友人であるジョージは、海の上に一人の兵士を発見し、救助します。放心状態の兵士でしたが、ドーソンがダンケルクに向かっていることを知り、船の操縦を妨害し始めます。その際、ジョージが頭を強打し、重傷を負ってしまうのです。

 空では3機のイギリス空軍戦闘機が、ドイツ軍と戦っていました。ファリア(トム・ハーディ)はリーダーの戦闘機が墜落したことをきっかけに指揮をとります。もう一機もやがて不時着し、のこりはファリアの戦闘機のみ。燃料も残りわずか。イギリスへ向かうか、ドイツ軍と戦うか、究極の選択が迫られます。

 このように、陸での一週間、海での一日、空の一時間、三つの視点から描いている本作。どのシチュエーションでも極限状態がかなり続きます。また、人の緊張感を煽るサウンドにも注目。視覚も聴覚もうまい具合に刺激し、極限状態に追い込んでくる本作は、鑑賞するだけでかなり体力消耗。しかし、戦争の緊迫感を疑似体験できることで、「戦争」について改めて考えることができました。監督は「本作は、どちらかというとサスペンスよりの作品だ」と明かしていますが、ダンケルクの戦い自体は本当にあった話。もうこんな極限状態の続く戦争なんてこの世からなくなればいいのに!と平和をすぐさま願いたくなりました。

(文/トキエス)

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