過去と未来に悩んだら『ヤング・アダルト・ニューヨーク』
- 『ヤング・アダルト・ニューヨーク [Blu-ray]』
- ベン・スティラー,ナオミ・ワッツ,アダム・ドライバー,アマンダ・サイフリッド,ノア・バームバック
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今いちばん動向が気になる役者といえば、アダム・ドライヴァーかもしれない。最初に目にしたのは、ドラマ「GIRLS」で、レナ・ダナムが演じる主人公の恋人 <アダム> を演じていたアダム。といっても最初はベッドシーンが多くて、ほぼ裸か半裸...。役柄上いけ好かない奴と感じていたのに、徐々に変人っぷりと色気に拍車がかかり、あれ、この人けっこう素敵かもと思ったのだった。
そしてふと気付くと、ここ数年で観た作品に頻繁に登場している(単純にアダムが売れっ子なのもあるが)。ざっと挙げてみよう。まずはともあれ『スター・ウォーズ』のカイロ・レン。そして、遠藤周作の小説をマーティン・スコセッシが映画化した『沈黙』で演じた若き宣教師。ジム・ジャームッシュの『パターソン』。『オーシャンズ』シリーズでおなじみのスティーブン・ソダーバーグが引退宣言を撤回して撮った『ローガンラッキー』。これでもまだ一部。なかなかの確率でスクリーンにはアダムがいる。
その中から、2016年公開の『ヤング・アダルト・ニューヨーク』を紹介したい。ノア・バームバックがNYを舞台に、二つのカップル間の化学反応的な友情を描いたコメディ作品。人生くすぶり気味、でもまだまだ若いぞってな感じの40代のクリエイター夫婦をベン・スティラー&ナオミ・ワッツが。エネルギーみなぎるネオヒッピー的な20代のカップルをアダム・ドライバー&アマンダ・セイフライドが。ちょうど中間地点にいるわたしには「ああ、昔はこんなだったかも...」「いつかこんな風に悩む時がくるのか...」と、過去と未来を行ったり来たりしながら見てしまう。派手さはないけれど、自分のしたい仕事について考えさせられる良作だと思う。ぜひ一人でじっくりと。
(文/峰典子)