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ごちゃまぜにきらめく『スパニッシュ・アパートメント』

スパニッシュ・アパートメント [DVD]
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春、真っ盛りである。このコラムを読む人の中に、新生活を迎えた人はどれくらいるだろうか。一人暮らしを始めた人、上京した人、入学した人、就職した人......。ルームシェアをはじめた人もいるかもしれない。今でこそ市民権を得ているシェアリングだが、私が学生の頃はそこまで浸透しておらず(いることにはいた)、映画のなかのそんなシーンを眩しく眺めていたような気がする。

不安と希望どっちもむくむくと膨らむものだから、兎に角、胸が苦しくてたまらない。そんな春にこそ見て欲しいのが『スパニッシュ・アパートメント』。舞台はスペイン、バルセロナ。国籍も性別も異なる学生たちがアパートで共同生活を送る。主人公は大学を卒業しパリからやってきたグザヴィエ(ロマン・デュリス)。恋人のマルティーヌ(オドレイ・トトゥ)をひとり残し、1年間の単身留学へやってきた。本当は作家になりたかったけれど、安定と親のために就職しようと思っている。

ざっとメンバーを紹介してみよう。イタリア人のアレッサンドロ、ドイツ人のトビアス、デンマーク人のラース、イギリス人のウェンディ、スペイン人のソレダ。そこにグザヴィエが引っ越してきて、そして、大学で知り合ったベルギー出身のイザベルも加わることに。賑やかで混沌とした1年が始まった。

原題は"L'auberge espagnol"。フランス語のスラングで"ごちゃまぜ"という意味。様々な文化がシチューのようにミックスされていて、ルールもなし、どんなことでも起こりうる場所を指すのだそうだ。グザヴィエが一体どう変化していくのか、あなたもぜひ見届けてほしい。

(文/峰典子)

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