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J・フランコが注目した史上最低映画『ザ・ルーム』"ちぐはぐさ"が爽快!

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 第75回ゴールデン・グローブ賞(以下GG賞)でミュージカル・コメディ部門の主演男優賞を受賞したジェームズ・フランコ。オスカーも期待されましたが、GG賞で反セクハラをうたう "TimesUp"ピンを胸につけてスピーチした際、「お前もセクハラしとるやないか」という声がツイッター上に次々と投稿されたことが問題になり、オスカーではノミネートされず......。セクハラ抗議が強くなっているハリウッドで、彼の再起は難しいのか!? そう思う前に観て欲しいのが、ジェームズがGG賞でノミネートされ監督も務めた『The Disaster Artist(原題)』! 本当に面白くて、ジェームズの才能があふれ出した一作なんです。日本はまだ未公開ですが、この作品は史上最低映画として名高い『ザ・ルーム』の制作過程を描いた作品。『The Disaster Artist(原題)』を楽しみにしているなら、『ザ・ルーム』は必見です。

舞台はサンフランシスコ。銀行員のジョニー(トミー・ワイゾー)は婚約者のリサを溺愛していました。リサはジョニーの金で欲しいものはすべて手に入るという贅沢な生活を送っていたものの、ジョニーへの愛は冷めきっていたのです。リサの母親や親友は、「恋愛ですべてを投げ出さず、何不自由ない生活が送れることに感謝しなさい」とリサをなだめますが、リサはとんでもなくビッチ。なんとジョニーの親友であるマークを愛していたのです。ある日、リサはマークに迫り、一線を越えてしまうのでした。

あらすじだけ聞くと、よくある恋愛映画のように思えますが、そうではありません。例えば冒頭のジョニーとリサがベッドインするシーン。なぜかデニーという少年がベッドにダイブし、3人でまくらで叩き戯れあいます。「デニー、きみは一体何者なんだ......?」そんな疑問から本作はスタート。他にも急に麻薬の売人がでてきたり、ピンピンだった母親が急に乳がんを告白したり...「ん?どういうこと...?」と、ちんぷんかんぷんなままストーリーは進んでいきます。でもその支離滅裂さが逆に爽快。頭の中で疑問が重なり続けると、面白可笑しくなるんだということも本作で実感。ストーリーを自分なりに深掘りしていくのもこの映画の楽しみ方のひとつです。

そんなハチャメチャ恋愛映画がジェームズ・フランコの手によって紐解かれた『The Disaster Artist(原題)』。いったいどんな作品に仕上がっているのかワクワクです! 本作を観た人なら、予告編だけで笑ってしまうこと間違いなし。ぜひチェックしてみてくださいね。

(文/トキエス)

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