もやもやレビュー

実写化作品の爆死した年に観て切なくなった『オールド・ボーイ』

オールド・ボーイ (字幕版)
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 2017年は漫画実写化の話題が目立ち、どれも散々な評価に終わった印象がある。プロが人気漫画を基に作り上げているというのに、どうして目を覆いたくなる内容になるのか、門外漢にとって疑問でならない。
 逆に評価が高かった作品は何かと考えていたら本作に行きついた。原作は1996~98年まで「漫画アクション」で連載していた。爆発的に人気を博した訳でもないのに、お隣の韓国で実写化されたことが不思議だった記憶がある。

 1988年、平凡なサラリーマンである主人公のオ・デスは何者かに襲われ窓のない部屋に監禁されてしまう。そこで自分の妻が殺害されたことをテレビで知り、しかも自分が犯人に仕立て上げられていた。発狂して何度も自殺を試みるがその都度丁寧な処置を施され生き延びてしまう。15年後、デスは突如解放され自分をこのような目に遭わせたのは誰か探し始める―。

 荒唐無稽な話だが無理めな設定を吹き飛ばす迫力がある。15年間監禁されてシャバに出てきて若者からタバコを奪いブン殴る、寿司屋に入って生きたタコに食らいつき気絶。文字にすると阿呆そのものだがデス演じるチェ・ミンシクの醸し出す狂気でゴリ押し。「どうしてこんなことをしているのか?」という疑問を抱かせない。また、ストーリーの焦点も15年間も監禁された理由に当てられているため緊張感が漂って目を離せない仕組みになっている。
 ただ、惜しむらくは妻を殺され15年間も監禁された理由が肩透かしであること。これは原作も同様なので忠実だと言えるが「なるほど、そんな理由だったのか!」と納得できる結末にして欲しかった。もっとも、誰しもが納得する理由で長い間監禁されたら謎解きの要素はなくなってしまうけれど......。

 隣国でこれほど面白い実写化作品があるというのに、今年の惨状を振り返るとどうにもやるせない。
(文/畑中雄也)

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