ディストピア版『おそ松さん』に震える。『セブン・シスターズ』
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近年大ヒットしたアニメといえば『おそ松さん』。六つ子のおそ松たちがニートをしながら現代社会を生き抜くというコメディで、普段アニメを観ない筆者でもどハマりしました。そんな『おそ松さん』のまさにシリアス、ディストピア版の映画『セブン・シスターズ(原題:What happened to Monday?)』を鑑賞。内容は『おそ松さん』とは程遠いですが、本作の主人公は七つ子ということもあり、思わず重ね合わせてしまいました。
舞台は、急激な人口増加によって資源が減少している2043年。政府は、二人目以降の子どもを地球の資源が回復するまで冷凍保存するという、厳重な一人っ子政策を実施していました。そんな中、七つ子の姉妹が誕生します。母親は死亡してしまったものの祖父であるテレンスは七つ子を守るため、彼女たちを一人の人間、 "カレン・セットマン"として育てることに。七つ子姉妹はマンデー(月曜日)、チューズデー(火曜日)、 ウェンズデー(水曜日) とそれぞれ曜日の名前が付けられ、その曜日だけ外出するという生活を送り、30歳まで世間の目を欺き生きてきました。
そして2073年、銀行員として働いていたカレン・セットマン。とある月曜日、マンデーが帰宅せず行方不明に。翌日チューズデーがマンデーを探すため外出しますが、謎の集団に連れ去られてしまいます。そこで待っていたのは一人っ子政策を強行する長官、ニコレット・ケイマンでした。誰が彼女たちの秘密を政府に暴露したのか......というかマンデーに何が起こったの(What happend to Monday)? 果たして、七つ子たちは無事に生き残ることができるのか。ハラハラドキドキが止まらないSFスリラーです。
優等生キャラや、パーティーガール、天才エンジニアなど、個性バラバラの七つ子を見事演じ切ったのは『ドラゴン・タトゥーの女』などで知られるノオミ・パラス。本当に違う人格に見えるのがびっくり! 厳重管理された社会の中で、七つ子たちが必死に生きようとしたり、自分という人間の存在の意味に悩んだりするシーンは震えます。......本当に一人で演じているのか?と思わず疑ってしまうほど。彼女の素晴らしい演技は、まさに怪演といえるでしょう。しかし彼女の輝かしい演技のおかげ(せい)で「現代のアニメ実写化ブームに乗っかって、誰かノオミ・パラスのような怪演ができる俳優が一人で六つ子を演じて『おそ松さん』をぜひ実写化してほしい!」という願望が鑑賞中ずっと頭によぎってしまいました。『おそ松さん』ファンなら「これがもし彼らだったら......」という空想も本作で楽しめますよ。
(文/トキエス)