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鬼才が撮った、とっておきの1本『神様メール』

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映画監督を指す言葉としてよく用いられるのが、鬼才、そして奇才という言葉ではないだろうか。ふと気になって調べてみると、鬼才は、人間とは思えないほどの優れた才能の持ち主、とのこと。なるほど。タランティーノやキューブリックは、鬼才と呼ばれることが多そう。対して奇才は、世にまれな、すぐれた才能という意味。検索するとリンチやゴダールなんかが出てくる。誰の文献なのかは明確ではないのだが、あえて才能に順位をつけるなら、不才<凡才<俗才<英才<秀才<異才<天才<奇才<鬼才の順番なのだという。まあ、秀才まではさておき、そこから上は順位などつける意味はないような気はするけれど。

さて、今回おすすめしたい映画『神様メール』の監督、ジャコ・ヴァン・ドルマルは、ベルギーの鬼才と言われている。1957年生まれなのだが、非常に寡作でわずか4本の映画しか公開されていない。それでも、その度に独特の世界観で人々を感動させてきた。『神様メール』は、カンヌ国際映画祭やゴールデン・グローブ賞で称賛を浴びたコメディー作品。この作品に登場する、地球全体を司る神様は、清潔感とか高潔さとは無縁な、人間の姿をしたダメダメなおっさん。しかも、パソコンの操作で適当に人間たちの人生を弄んでいる。そんな父親に幻滅し反乱を起こしたのが、神様の娘。なんと、人間たち皆に余命をメールで知らせてしまう。さて、そこからどんなドタバタが起こるのだろうか。ああ、面白かった。

たとえ何度生まれ変わったところで、鬼才どころか秀才にもなれることはないだろう、平々凡々な私の魂だが、せめて俗才くらいは目指せるだろうか。俗才とは、日常の雑事をうまくこなす世渡りの能力のことらしい。身の丈に合わせて、せめてそのあたりを目指していきたい。

(文/峰典子)

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