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爆裂メタル兄ちゃんが家族愛を取り戻す『メタルヘッド』

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メタリカの楽曲をバックに奇妙奇天烈な男が巻き起こす、ある家族の再生物語である。妻を失った夫と、まだ幼さの残る13歳の息子。その出来事から幾分しか経っていないのだろう。すっぽりと隙間の空いた部屋の空気が、重く二人にのしかかる。そこに現れたのはジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる、意味不明なメタル野郎ヘッシャー。ちなみに、この意味不明さは本編の最後まで続き、結局のところ彼が何者であるのかは、はっきりと描かれていない。だけどヘッシャーは、この親子だけでなく、ナタリー・ポートマン演じるスーパーの店員ニコールまで巻き込み、煽り、引っ掻き回した挙句、なぜか家族を再生させてしまう。

ヘッシャーの設定はつかみどころがない。そこは見所の一つなのでここでは割愛したいが、文字通り破茶滅茶なことばかりし、周りをげんなりさせていく。しかし、後半で話の流れがぐっと傾く。下品で、上半身裸で、行動も唐突、意味不明。だけど、正直で、弱いと思うものには力を貸し、約束は守る。こんなヒーロー像もいいな、と思わされる。実際、最後のシーンでは、笑いながらも涙が溢れてしまった。いつの間にか、ヘッシャーのファンになっていたのだ。

(文/峰典子)

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