もやもやレビュー

平凡大学生の人生を狂わせた特技がすごい。『ラスベガスをぶっつぶせ』

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意外性が人を魅力的に見せるということは、よく知られているし、実際に体感することも多いだろう。突然だが、俳優ベン・アフレックについて話してみたい。カリフォルニア州バークレーに生まれ育ち、幼い頃から子役として活動をスタート、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』や『アルマゲドン』といった作品に俳優として出演する他、映画作家として『アルゴ』でアカデミー賞をとっている。

そんな彼の意外性は、カジノの才能にあるといって間違いない。それがどのレベルかというと、有名カジノから「うますぎる」という理由で、出禁になるほどである。ほんまかいな。ほんまなのだ。

ある時、ラスベガスに来ていたベンは、妻とブラックジャックを楽しんでいたが、あまりにも高い勝率に、警備員からレッドカードを下される。開いていったカードを全て覚え、確率論で次の手を読んでいたのだ。記憶するだけでなく、情報を瞬時にコントロールする必要があり、誰もができる芸当ではない。これはカードカウンティングと呼ばれるもので、厳密には違反ではないものの、度がすぎるとカジノから警告を受けてしまう。

このカードカウンティングを習得し、マサチューセッツ工科大学の教授と学生が5億円を荒稼ぎしたというセンセーショナルな事件をご存知だろうか。その事件は『ラスベガスをぶっつぶせ』というタイトルで映画化されている。

21歳のベンは、その賢さから教授に目をつけられ、"荒稼ぎの会"に勧誘される。最初は断るのだが、医科大に進むための奨学金を稼ぐため仲間に入ることに。地味で平凡な大学生がはじめる二重生活が、どう歪んでいくのか、なかなか見ごたえのある映画である。ちなみに、この作品にベン・アフレックは出演していないので悪しからず。

(文/峰典子)

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