もやもやレビュー

『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』は、欲深くなってる心のリセット装置。

グッド・ライ~いちばん優しい嘘~ [Blu-ray]
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 1983年、アフリカ大陸のスーダンでの内戦によって、両親を亡くし住む家を奪われた、ロストボーイズと呼ばれる内戦孤児がいます。本作は、そんなロストボーイズをめぐる実話をもとにした物語です。 

 スーダン南部で両親とともに平和に暮らしていた主人公のマメールと兄弟たち。しかし、突然ヘリに乗った武装集団に襲われ、両親は殺され村は焼かれてしまいます。

 その後、安全だと言われる隣国へ1,000キロ以上にも及ぶ道を歩き続ける彼ら。その間、病を患ったり再び武装集団に襲われたりし、ケニアの難民キャンプにたどり着いたときに残ったのは、マメール、ジェレマイア、ポール、姉のアビタルの4人だけでした。

 彼らのように、内戦によって両親を失い、家も失った3600人の若者を、アメリカとスーダンが協力して全米各地に移住させる計画は、本当にあったもの。この難民移住計画によって、アメリカ・カンザスシティーに行くことになり、未知なる世界で新生活を始めたマメールたちの暮らしぶりが、とても印象的です。

 例えば。
 車に乗れば一瞬で酔うし、牧場を見ると「ライオンはいますか?」と確認し、職場の人から聞いたアメリカンジョークに大笑い。就職したスーパーでは、賞味期限切れの商品を捨てることに驚いたり、結婚せず自分で稼いでいるアメリカでの世話人・キャリー(リース・ウィザースプーン)のことを、「優れたサバイバル能力だ」と言ったり。ピザに至っては、「奇跡の食べ物!」とまで言って感謝します。

 便利なものに当たり前のように囲まれて、ますます欲張りになっていく私たちですが、普通に生活できることだけで本当は幸せなのだと彼らは教えてくれます。ピザを食べられることに感謝する心は忘れないでいたいもの。欲張りな心をリセットしてくれる、そんな素敵な映画です。

(文/森山梓)

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