『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』は、欲深な心のリセット装置。
- 『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~ [DVD]』
- リース・ウィザースプーン,アーノルド・オーチェン,ゲール・ドゥエイニー,エマニュエル・ジャル,コリー・ストール,フィリップ・ファラルドー
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スーダン南部で両親とともに平和に暮らしていたマメールと兄弟たち。しかし、突然ヘリに乗った武装集団に襲われ、両親は殺され村は焼かれてしまいます。
その後、安全だと言われる隣国へ1,000キロ以上にも及ぶ道を歩き続ける彼ら。その間、病を患ったり再び武装集団に襲われたりし、ケニアの難民キャンプにたどり着いたときに残ったのは、マメール、ジェレマイア、ポール、姉のアビタルの4人だけでした。
彼らのように、内戦によって両親を失い、家も失った3600人の若者を、アメリカとスーダンが協力して全米各地に移住させる計画があったのをご存じでしょうか。この映画は、実際に実行された難民移住計画を描いた、実話をもとにした物語。この計画によって、アメリカはカンザスシティーに行くことになり、未知なる世界で新生活を始めたマメールたちの暮らしぶりは、とても印象的です。
例えば。
車に乗れば一瞬で酔うし、牧場を見ると「ライオンはいますか?」と確認し、職場の人から聞いたアメリカンジョークに大笑い。就職したスーパーでは、賞味期限切れの商品を捨てることに驚いたり、結婚せず自分で稼いでいるアメリカでの世話人・キャリー(リース・ウィザースプーン)のことを、「優れたサバイバル能力だ」と言ったり。ピザに至っては、「奇跡の食べ物!」とまで言って感謝します。
iPhone7 Plusが予約したのに発売日に手に入らなかっただの、ウォシュレットが壊れただの。当たり前に便利なものに囲まれて、ますます欲張りになっていく私たちですが、普通に生活できるだけで本当は幸せなのだと彼らは教えてくれます。iPhoneもいいけど、ピザを食べられることに感謝する心は忘れないでいたいもの。欲張りスイッチをリセットしてくれる、そんな素敵な映画です。
(文/森山梓)