『残穢 --住んではいけない部屋--』を観て、"曰く付き物件"の境界線がわからなくなった。
- 『残穢[ざんえ]―住んではいけない部屋― [Blu-ray]』
- 竹内結子,橋本愛,坂口健太郎,滝藤賢一,佐々木蔵之介,中村義洋
- Happinet
- >> Amazon.co.jp
- >> HMV&BOOKS
突然ですが、物件探しでアナタは何を優先していますか? 駅や、コンビニが近いという便利性のほか、日当りは良好、2階以上......などなどその人の人柄や仕事柄によって優先順位はさまざまだと思います。ちなみに仕事柄、ホラー映画をいっぱい観る私は、引っ越しの際は必ず「ここ、曰く付き物件じゃないですよね?」と確認します。毎回、不動産屋さんに「大丈夫です」と言われて、安心していましたが、『残穢 --住んではいけない部屋--』を観て、いままで自分が必ずしていた質問がアホらしくなりました。
主人公はミステリー小説家の"私"(竹内結子)。彼女のもとに、女子大生の久保さん(橋本愛)から「住んでいる部屋で畳を擦るような音が聞こえる」という手紙が届きます。曰く付き物件ではないはずの久保さんの部屋で、なぜ怪奇現象が起こるのか......早速調査にあたった2人。すると、そのマンションに以前住んでいた人が引っ越した後に自殺したり、心中したり、殺人事件が起こったりとさまざまな怖い事実が判明していきます。そこで、マンションが建つ前にさかのぼり、どんどん過去を探っていく2人。明治、大正あたりまで。
自分の住んでいる場所で、過去に何があったのか? 知りたいような、知りたくないような、本来ならグレーゾーンとしておきたい事実をとことん突き止めていく本作。諦めずに真実をとことん突き詰めていく様は『ゾディアック』を思い出すし、"穢れ(=死・疫病・月経などによって生じ、共同体に異常をもたらすと信じられ避けられているもの)が連鎖していく様は、『死霊館』の"アナベル"のようでもあります。
現実には、不動産屋さんで「このマンションが建つ前は? そのもっと前は事件ありましたか?」なんてとてもじゃないけど確認できません。つまり、私たちが住んでる家も「曰く付き物件」である可能性は捨てきれないのです。というわけであんまり怖がりな人は、お祓いでもしてから住むのがいいかもしれません。
(文/トキエス)