もやもやレビュー

眠れない夜は『ジュラシック・パーク』の中心で愛を叫ぶ

ジュラシック・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
『ジュラシック・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)』
クライトン,マイクル,クライトン,マイクル,Crichton,Michael,昭伸, 酒井
早川書房
1,056円(税込)
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筆が進まない深夜は、決まって映画配信サイトを開いてしまう。その日『ジュラシック・パーク』を選んだことにも、深い意味はなかった。5年、いや10年ぶりくらいか。最初は作業をしながらチラチラと見ていたはずが、気づくとワードファイルは閉じられており、恐竜の画像を検索する自分がいた。

「ジュラシック・パーク」が、巨匠スティーブン・スピルバーグ監督による恐竜パニック映画であることは百も承知だろうが、原作となった同名小説を読んだことのある人は、そう多くはないだろう。著者マイケル・クライトンは、研究熱心なことで知られる作家である。膨大な量の本や資料を読み漁り、綿密なリサーチに基づいてストーリーを組み立てていくという。小説『ジュラシック・パーク』は、そんな彼の持ち味が最大限に生かされており、世界中の映画ファンに、"映画よりも映画らしい小説"とまで言わしめている。

なぜ恐竜が復活したのか、という点に関しても、映画ではアニメーションを使った簡易的な説明にとどまっていたが、小説の中ではリアリティーに富んだ学説を楽しむことができる。それはまるでクライトン自身が、恐竜を蘇らせたことがあるのではないか、と思ってしまうほどのマニアックさだ。そんなものだから、なんだか読むだけですっかり賢くなったような錯覚を覚えてしまう。もちろんページを閉じれば元通りなのだが...。

(文/峰典子)

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