新年に元気が出ます。『超高速！ 参勤交代』

　始まったばかりの1年、元気がでる映画がこちらです。

　舞台は江戸時代。福島県は湯長谷藩の藩主・内藤政醇（佐々木蔵之介）は、一年にわたる参勤交代の勤めを果たし江戸より戻ったばかりでしたが、再び参勤交代せよとの命が。しかも、通常８日はかかる日程を５日以内にというものでした。江戸の老中・松平信祝（陣内孝則）が、湯長谷藩の金山の届出に対し虚偽の疑いをかけたのです...。

湯長谷藩にしてみれば事実無根。でも、幕府の命令は絶対です。将軍に大根の漬け物を献上するほど貧乏な湯長谷藩にとっては、立て続けに二度の参勤は藩が潰れるほどの危機的状況でしたが、そんな中で救いとなったのは、内藤が人に恵まれたことでした。

　知恵を振り絞ってくれる家老（西村雅彦）、ピンチの時でも冷静な対応をしてくれる部下（上地雄輔）など、藩内の部下たちはもちろん、道中の宿場町で出会ったお咲（深田恭子）や、旅先案内人の雲隠段蔵（伊原剛志）、磐城平藩主（甲本雅裕）などなど。皆、内藤や湯長谷藩を助けたいと思う一心でした。そう思わせたのは、内藤がイイ人だったからです。

　宿場町で不当な扱いを受ける飯盛り女のお咲には、周囲の目を恐れず一人の人間として向き合う。段蔵には、案内役報酬を道中に先に渡してしまい逃げ出されてしまうけど、必死でかき集めたであろう賃金を目の当たりにし、結局段蔵は自ら内藤らの元に戻ります。また、磐城平藩が財政難だった際には、他藩より率先して米を援助してあげていました。自らも決して裕福な藩ではないのに。

　情けは人のためならずとはよく言ったものです！　人の為を思ってしてあげたことが巡り巡って自分のところに返ってくる。もちろん見返りを期待しているわけではなくて。まだまだ世の中も捨てたもんじゃないはずだ！と思わせてくれる、新年にもってこいの一本です。
（文／森山梓）