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理不尽な要求には、人徳で対抗せよ!『超高速!参勤交代』

映画『超高速!参勤交代』は、6月21日(土)より全国ロードショー!

サラリーマンの世に理不尽はつきもの。それは江戸時代も変わらなかった!? 『超高速!参勤交代』は、江戸時代に実在した湯長谷藩(現在の福島県いわき市)が、幕府から超理不尽な参勤を命じられ奔走する物語。例えば上司から、あるいは決して逆らえない相手から、理不尽な要求を強いられた時に我々はどう対処するべきか。この映画が教えてくれます。

8代将軍徳川吉宗の時代。参勤から帰ってきたばかりの湯長谷藩(現在の福島県いわき市)の第4代藩主・内藤政醇(実在)は、幕府から再びの参勤を命じられます。普通なら年に1度でいいはずの参勤。莫大な費用もかかるし、財政難に苦しむ弱小藩である湯長谷藩にとって、立て続けの参勤は超辛い仕打ちです。しかも期限はなんと5日以内。通常なら8日かかるところを、実質4日で行わなければならないという理不尽すぎる要求を突きつけられてしまうのです。

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藩主の内藤政醇を佐々木蔵之介さんが、藩一番の知恵者を西村雅彦さんが演じてます。

幕府の命令は絶対。もし断れば藩は取り潰され、藩主はじめ家臣たちの命も危うい状況に。そんな中、湯長谷藩の内藤政醇は、「少数精鋭」の部隊を結成し、「外部ブレーン」を雇った上で、奇策に奇策を重ねて危機を突破していきます。ちなみに少数精鋭部隊はチームバランスも重要。内藤政醇がセレクトしたのは、知恵者1名、冷静沈着な者1名、残りは武芸に秀でたメンバーで、弓の達人、槍の達人、剣の達人など数名。で、そこに外部ブレーンが加わるわけですから、チーム的には完璧です。やっぱりできるリーダーは人選が上手い!

でも内藤政醇が一番優れているのは人徳です。例えば他藩が飢饉の時に、自らも苦しいながらも率先して援助をしたり、何よりもまず民衆のことを考えたり。そういう日頃の行いが、危機的状況に置かれた彼らを救ってくれるきっかけになります。

日頃の行いがモノを言うなんて、聞き飽きたことのようにも思えるけど、理不尽な状況に晒された時に役立つのは、やっぱり人の助け。この世に理不尽がつきものならば、せめて我々は日々人徳を磨いていこう。それが理不尽に対する、唯一かつ超有効な対策なのではないかと、気づかせてくれる映画です。
(文/根本美保子)

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『超高速!参勤交代』
6月21日(土)より全国ロードショー

監督:本木克英
出演:佐々木蔵之介、深田恭子、伊原剛志ほか
配給:松竹
2014/日本映画/119分

公式サイト:http://cho-sankin.jp
©2014「超高速!参勤交代」製作委員会

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