『屋根裏部屋のマリアたち』を観て、資産家のおじさんにときめいた。
- 『屋根裏部屋のマリアたち [DVD]』
- ファブリス・ルキーニ,サンドリーヌ・キベルラン,ナタリア・ベルベケ,カルメン・マウラ,フィリップ・ル・ゲイ,フィリップ・ル・ゲイ,ジェローム・トネール,ファブリス・ルキーニ
- アルバトロス
- >> Amazon.co.jp
- >> HMV&BOOKS
ファザコンではありません。ですが、本作を観て年上のおじさんもいいなぁと思いました。
1960年代のパリ。証券会社を経営する資産家ジャン=ルイの元で家政婦をしている叔母を訪ね、スペイン人のマリアがパリへやってきます。そしてマリアも、そこで住み込みで働き始めることに。ジャン・ルイ宅の6階で、叔母や他のスペイン人家政婦らとの共同生活が始まります。
スペイン人ならではとも言える、陽気で明るい彼女たちの魅力に、徐々に引き込まれていくジャン=ルイ。妻に別の女性との浮気を疑われたことをきっかけに家を出て、彼もまたマリアたちの暮らす6階に住み始めます。
狭い一室で、好きにご飯を食べてワインを飲んでラジオを聴いて本を読む。家族から解放され、生まれて初めての自由な一人時間を謳歌するジャン=ルイ。そんな暮らしの中で、いつしかマリアに惹かれていきます。そして挙句の果てには、家も家族も仕事も捨ててマリアと一緒になるとまで言い出します。
ちなみに、彼がマリアを家政婦として雇った決め手は、毎朝食べるゆで卵のゆで具合が自分の好みの固さだったから。こういう独自のこだわりは、きっと人生を積み重ねてきたおじさんならではのもの。生き方や価値観が小さなアクションの端々に表れているおじさん、素敵です。
だからこそ、簡単に富すら捨てられちゃうのがジャン=ルイなわけですが、資産家というステータスを失った彼と、あなたなら一緒になれますか? ......と、こんな風に金に目がくらんでいるうちは、彼のようなステキ男性には好かれそうもないということを、改めて感じられたりもする映画です。
(文/森山梓)