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もはやゾンビとかどうでもよくなってる『ウォーキング・デッド』がまだまだ面白い

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意外とけっこう珍しい、ゾンビもののTVドラマ『ウォーキング・デッド』。ゾンビ大好きなアメリカ人(のみならず、世界的にも)に超大ヒットしているシリーズですが、先日シーズン5が終了しまして、約半年後の10月からシーズン6の放送が始まります。このインターバル期間に、未見の方はぜひ! マジで面白いですので!

『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』『ミスト』の監督フランク・ダラボンが企画、製作総指揮を務めていた(シーズン2の放送直前に解雇されたらしいですが)ことでも知られるこのドラマ。監督をやる前は、『エルム街の悪夢3』や『ザ・フライ2』などホラー映画の脚本を手がけていた人なので、やっぱホラー好きなんでしょうね。シーズン1の第一話はダラボン自身が監督も務めていますが、さすがにすごい出来映えです。ゾンビにあまり興味が持てない人も、この第一話だけは観るべき!

さて、このドラマの素晴らしいところといえば、やっぱりゾンビの完成度です! テレビドラマだからって甘く見てはいけません。ほかのゾンビ映画と比べても、最強クラスにゾンビがリアル。肉塊、腐りかけの死体にはらわた。匂いまで感じさせるほどの描写には、本当に感動します。間違ってもご飯を食べながら見るドラマじゃありません。というか、ドラマのレベルを完全に超えてます。

設定は、ゾンビが蔓延してしまったあとの世界。意識不明の主人公が目覚めたら、ゾンビの世界になっていた!という始まり方は、ダニー・ボイルの『28日後...』とよく似ています。ただ、ゾンビの動きに関しては、『28日後...』とは真逆で、どちらかというとロメロ大先生の系譜に基づく古典的なもの。うめき声を上げて、ゆっくりゆっくり人間に襲いかかってきます。始末する方法は脳を破壊すること、というゾンビルールもしっかり適用されています。

ひとつ面白い設定がシーズン1に出てきます。全身にゾンビの血を塗りたくることで、ゾンビたちからカモフラージュできるというもの。いったいゾンビは何をもって人間を識別しているのか。謎が深まります。ちなみにこれ以降、ドラマの中で同じ手口は使われておりません。

キャラクターも面白いです。日本でも人気が高いのが、ノーマン・リーダスが演じるアウトローなボーガン使い、ダリル。心優しきガサツ男というキャラが非常にわかりやすく格好よく、むしろ主人公のリック(アンドリュー・リンカーン)よりも魅力的です。ほかにも黒人サムライお姉さんや、貧弱に見えてサバイバル能力が高いアジア人、非常にうざい金髪ビッチなど、個性的なキャラクターがいっぱいです。とはいえゾンビ世界で人間がサバイバルしていく話。いつ自分の好きなキャラクターがいなくなってしまうのか、そんなドキドキ感も楽しいです。

でも、お話の中心はあくまでサバイバル。破滅的な状況の中で、人はいかに生き抜いていくのか。生き残るために、果たして自分は相手を殺すのだろうか。一緒に行動してきた仲間を見殺しにするだろうか。人を信じるだろうか、疑うだろうか。毎回、いろんな問いが投げかけられます。時には絶望に打ち拉がれ呆然としてしまう回もあります。というか、基本的にずーっと暗い雰囲気です。そして基本的に、もはやゾンビはどうでもよくなってます。世界観がゾンビっていうぐらい。現れたら「はいはい」という感じで、頭をナイフでぶっさして終了です。そう、でもゾンビって、環境でしかないんですよね。いたらいたで、慣れちゃうってことみたいです。

日本ではDVDはもちろんですが、Hulu(一部エピソードは限定配信)でも観られますので、ぜひ観てください。

(文/根本美保子)

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