もやもやレビュー

『ホーリー・モーターズ』を観て再確認した、わけがわからないという面白さ

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 人間、年をとると、自分が理解できないことはすぐに否定したりしがちですが、そんな人に観てもらいたいのが、今回紹介する『ホーリー・モーターズ』です。

 『ポンヌフの恋人』など、「アレックス青春3部作」で知られるレオス・カラックス監督の最新作(2013年日本公開)で、今回もアレックス役だったドニ・ラヴァンが主役です。

 ある日の早朝、大富豪の銀行家・オスカーは、仕事に向かうために運転手付きの白いリムジンに乗り込みます。忙しく書類に目を通しながら、運転手と会話するオスカー、今日のアポは9件と告げられ、苦い顔。なかなか忙しい一日になりそうです。そして最初のアポの時間がやってきました。オスカーはおもむろに老婆に変装し出します。ん?どういうことだ? ここであたまにはてなが浮かびます。老婆に扮したオスカーは、リムジンを降り、アレクサンドル3世橋に着くといきなり物乞いを始めます。そして画面はまた車のなか。次のアポへと向かうのですが、え、アポって変装して物乞いすることがアポなの?? その後もモーションキャプチャーのモデル、怪物メルド、スキンヘッドの殺し屋、娘のいる父、など、次々に変装し、その役割をこなすと車に戻ってまた変装の準備......、延々とこの繰り返しなのです。そして日もどっぷりくれた深夜、最後のアポに向かいます......。

 どういう目的でこの行為が行われているかなどの説明は一切なし! 僕はダウンタウンの不条理コントを観ている気分でずっと画面を眺めていました。はっきりいってわけがわからないのですが、なぜか惹かれてしまうんです。それは僕が自分の理解を超えたものに出会うとワクワクしてしまうほうの人間だからかもしれません。人によってはなんじゃこりゃー!とDVDを叩きつけてるかも。

 でも、自分が理解できないことに出会うって自分の固定観念を打破するチャンスなんですよね。だから、我慢して観てみてください。きっと新しいものの考え方を教えてくれますよ。あと、謎だらけなので、分析・考察ファンにももってこいです。

(文/神田桂一)

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