羞恥心を乗り越えるための力をもらった。『エンジェル ウォーズ』
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ゲーセンの音ゲーコーナー(特にダンスダンスレボリューション)で、額に汗して人智を超えたヤバイ動きをする人が、1ゲーセンに1人はだいたいいます。その彼を好奇の目で見ながらも、心の中でほんのり尊敬している自分がいます。好きなものに100%没頭する、完全なる無の時間。羞恥心から解き放たれたその姿には、勇気づけられたりもします。
そんなダンレボプロに出会ったような感覚を想起させるのが、ザック・スナイダー5本目の監督作『エンジェル ウォーズ』(2011年)。ちなみに、初めての原作なしのオリジナル作品です。
精神病院に入れられた少女が現実逃避のために生み出した空想世界と、現実世界とを行き来。で、それら2つの世界は微妙にリンクしている!というような設定。何でもありの空想世界では、金髪女子高生ルック(銃と刀の二刀流)の主人公たち女子グループがいろんなカッコいいものと戦います。サムライ大魔神、ガスマスクのナチス機械兵、巨大なドラゴン。それぞれにオタク趣味全開でカッコいいけど、空想世界とわかっている故に緊張感が薄いのが難点。初めは新鮮だけど、空想回数を重ねるうちに、そっかぁ監督、大好きな世界なんだねぇ楽しそうだねぇ......遠い目。そんな心境になってきます。
結果、見終えたあとの素直な気持ちは、ザック・スナイダーのすごいオナニーを見てしまった、なんだか気まずい。なんです、が! でもそれは決して不快というわけじゃありません。むしろ、好きなものを全力で好きだと言えること。羞恥心より好きだという気持ちが100万倍勝っていること。そのむき出しのピュアは、大きな刺激を与えてくれました。
(文/鬱川クリスティーン)