もやもやレビュー

見えないところで手を抜き、見えないところで努力することがその秘訣。『ケイト・レディが完璧な理由』

ケイト・レディが完璧な理由
『ケイト・レディが完璧な理由』
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 完璧でありたいと思うのに、それとはほど遠いところにいる自分に自己嫌悪。そんな人に観て欲しい映画です。

 主人公のケイトを演じるのは、『セックス・アンド・ザ・シティ』で大ブレイクしたサラ・ジェシカ・パーカー。ケイトは、妻であり、母であり、キャリアウーマン。仕事と家庭の両立に悪戦苦闘するその姿がコミカルかつリアルに描かれ、共感必至のハートウォーミング・ラブコメディです。

 タイトルにケイト・レディが完璧な理由とありますが、ケイトは決して完璧ではありません。夫と二人だけの夕食時はレンチンで済ませたり、娘の幼稚園のバザーに持って行った手作りパイに実は買ってきたものを使ってみたり。手を抜くところはうまく、バレないように。つまり、相手を失望させない手の抜き方が上手い。

 また、家庭と仕事とを両立させるためにできる限りの努力を忘れません。例えば、仕事と家庭をスムーズにこなすために、寝る間を惜しんで"やることリスト"を作ったり。

 完璧じゃない彼女が完璧に見える理由。それは人に見えないところで手を抜き、見えないところで努力しているから、だったのです。完璧を目指したり、何事もパーフェクトにこなしたいと思っても、ただ思っているだけでは全く意味がないんですね。当たり前ですが。私も思っているだけではなく、創意工夫と努力するところから始めたいと思います。

 余談ですが、何事も完璧でそつなく見える、高飛車風のちょっと鼻につきそうな人でも、陰ながら努力しているのかなと思ったら、好意的に見ることができるかもとも思いました。

(文/森山梓)

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