『天使の涙』のカレン・モクに、不思議ちゃんの系譜を見た。
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94年、『恋する惑星』をヒットさせた香港映画の雄、ウォン・カーウァイ監督が翌年撮った映画が『天使の涙』です。当初、3話からなる予定だった『恋する惑星』の1話を独立させて撮った映画で、そのため、2作品、画面から漂うテイストがとても似ています。『恋する惑星』を楽しめ、あの感じをもっと観たいと思っている人は十分に満足できる映画だと思います。
殺し屋のレオン・ライとパートナーのミシェル・リーを中心に、レオン・ライに恋をするカレン・モク、前作でも活躍した金城武が微妙に絡み合いながら物語は進みます。
といっても、ストーリーというほどのストーリーはなく、相変わらずのスタイリッシュなカメラワーク、映像押しで、ひたすら画面に釘付けにさせます。
ここで注目したいのが、カレン・モク。カレン・モクのキャラクターが元祖不思議ちゃんな感じでとても面白い。(きゃりーぱみゅぱみゅ的な不思議ちゃんじゃなくて、吉高由里子的な不思議ちゃんです)。しかも振り回し体質の不思議ちゃんにはなかった、振られる役です。カレン・モクがこの演技でブレイクしたのもうなずけます。
90年代の古い映画ですが、いま見てもまったく色褪せず、むしろ、今に繋がる系譜がどこそこに散りばめられているので、見ごたえあり、だと思います。
(文/神田桂一)