もやもやレビュー

『人生、ブラボー!』で、理想の父親に出会った。

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 風邪やインフルエンザが流行ってます。風邪を引くとついつい気持ちが弱ってしまい、こんな前向きなタイトルの映画に惹かれますよね。

 でも主人公が置かれていたのは、後ろを向きたくなるくらい受け入れ難い状況でした。過去693回の精子提供を通じて、ある日突然533人の子どもの父親だと告げられ、さらにその中の142人の子どもたちから身元開示の裁判を求められた42歳独身のダヴィッド。

 その中に自分の応援するサッカーチームのスター選手がいたことで興味を持ち、身元を隠して子どもたちを逆訪問。そこには役者志望、路上ミュージシャン、ゲイ、薬物依存症から障害を持った子まで、それぞれの人生を生きる姿がありました。彼らとの交流を深めるうちに、何かしてあげたいという気持ちから、自身の正体を明かすべきかどうか大きな葛藤が生まれます。

 そんなダヴィッドってどんなヤツなのかと思いますよね。彼は、父親からとっても大きな愛情を注がれて育った幸せ者でした。彼の父親には、印象的な言葉をたくさんあります。

「山ほどの欠点に我慢できれば、最高の瞬間を味わうことができる」
 これは、ダヴィッドが彼女を家族に紹介した際に、彼女へ贈った言葉。

「俺の幸せは毎日、お前たちに会えること。人生最大の収穫だ」
 そう言って、正体を明かすかどうか悩むダヴィッドの背中を押してあげたりも。

また、ヘボ配達員な自分に子供たちが失望するのではと不安がるダヴィッドには、こんな励ましの言葉を。
「ほかの奴と比べて配達時間が4倍かかる、確かにヘボ配達員だ。だが、どこへ行っても人に好かれる。子供たちにも好かれるさ」
 父親の無償の愛を痛いほど感じました。

 このハートフルなカナダ映画は、世界中の映画祭で大喝采を浴び、スピルバーグがリメイク権を獲得。本家同様ケン・スコットが監督と脚本を担当したリメイク版(原題『Delivery Man』)は、昨年すでに全米公開されています。日本公開は残念ながら未定のようです。

(文/森山梓)

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