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異ジャンルのオタク×オタクの化学反応はとてつもない! 『キック・アス』

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 イギリスの動物園で、サルにバナナを与えるのをやめたというニュースが、ちょっと前にありました。理由は「サルの健康によくないから!」。だいぶ今さら感がありますが。こんな感じに常識を覆される出来事は、日常茶飯事。結局、常識や普通であることって、とっても馬鹿げているし、不確かなものだということですが、それは置いといて『キック・アス』(2010年)です。どんなにヒーロー好きでも、ほんとにヒーローをやろうと思う人など普通はいない。だってファンタジーだとわかっているから。でも、そんな普通を覆し、ヒーローを始めた男子がキック・アス。

 ド変態ガンマニアのお父さん(ニコラス・ケイジ)に育てられ、幼いながらもプロの殺し屋ばりのスキルを持った美少女ヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)に、どうしても目が行ってしまう本作。主人公はキック・アスだけど、どう考えてもヒット・ガールの方がかっこよく、そしてキャッチーです。

 でも、そのヒット・ガールが誕生したのは、やっぱり、ふたりの普通じゃない、ピュアな男(オタク)たちがいたからです。ナチュラルボーン・オタクで、ヒーローに憧れるあまりに本当にヒーローになることを実行したキック・アス。犯罪組織への復讐という絶対目的はあるにせよ、根本的には単なるオタクな父、ビッグ・ダディ。この2人のオタクたちの「○○が大好き!」という、常識とか、普通の人が考える"普通"というものなんかに縛られないピュアな感情が、あのすごいヒット・ガールという形になって現れたのです。

 ジャンルの違うオタクが交わると、何か新たなすごいものが生まれる! オタクが持っている純粋な「大好き!」のパワーに、改めて敬意を表したくなる。そんな映画でした。やっぱり世界を変えるのはオタクだ。

(文/鬱川クリスティーン)

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