もやもやレビュー

たとえ苦手な人が相手でも、大事な話は聞いてあげる粋な心を持とうと思った。『ハウリング』

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 先日、マツコデラックス監修(?)という「粉雪フレンチクルーラー」を食べました。普通のフレンチクルーラーの偉大さを知りました。定番にはやはり価値がある! というわけで、ホラーの定番キャラ「狼男」を題材にした『ハウリング』(ジョー・ダンテ監督によるオリジナル版/1981年)を観ました。

 猟奇殺人犯の取材で精神を病んでしまった女性ニュースキャスターが、療養のために訪れた「コロニー」と呼ばれる保養所。しかしその場所は、狼男が現れるという伝説の地だった。ので、次々と狼男が出現し、大変なことに!というお話です。狼男というと満月の夜に変身するイメージですが、ここでの狼男はいつでも好きな時に変身可。

『エクソシスト』や『スター・ウォーズ』などでも知られる特殊メイクの巨匠リック・ベイカーの弟子、ロブ・ボッティンが手がける狼男。凶悪な顔、毛むくじゃらの体のそれは、怖いというよりかわいいです。が、最大の見所である「狼男の変身シーン」は非常にグロくキモく邪悪。30年も前の作品ではありますが、今も色あせない、思わず見入ってしまうほどの魅力があります(ただし、変身完了するとやっぱりかわいくなってしまう悲劇)。

 この変身シーン、とにかく描写がきめ細やか。皮膚をボコボコと膨らませ、3分程度もの時間をかけて丁寧に変身していくのですが、驚くことに、その間ヒロインはずーっと目の前で変身の過程を見ていてあげるのです。そしてしっかりと変身し終わったのを見届けるとともに、後ろ手に隠し持っていた酸(?)をばしゃんとぶっかけて、逃げて行きます。

 たとえ敵であっても、大事な話、大事なプレゼンテーションは必ず最後まで聞いてあげる。『ハウリング』に限らず、ヒーローやヒロインにはいつだってそういう粋な心が備わっているように思います。間違っても途中で水を差すような無粋な真似はしないのです。それがヒーロー、ヒロインの粋。その心、忘れずに見習いたいと思います。

(文/滝川クリスティーン)

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