もやもやレビュー

冬にこそ観る価値あり。『サマータイムマシン・ブルース』

サマータイムマシン・ブルース スタンダード・エディション (初回生産限定価格) [DVD]
『サマータイムマシン・ブルース スタンダード・エディション (初回生産限定価格) [DVD]』
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 最近の寒さ、はんぱないです。アメリカでは記録的大寒波。この日本にも最強寒波襲来だとかニュースで耳にし、凍りつく日々です。そんな中、ギンギンにアツい夏が舞台の映画を観ました。

『サマータイムマシン・ブルース』は、京都の劇団『ヨーロッパ企画』のヒット舞台を『踊る大捜査線』シリーズでお馴染みの本広克行監督が映画化(2005年9月公開)。

 瑛太やムロツヨシ属するSF研究部は部員が5人。夏休み中、屋外で野球をし、人数が足りなくても楽しんでバカやってる様子を、部室がほぼ一緒の写真部員、真木よう子がシャッターを切っています(写真部には、他に上野樹里も)。運動後は部室に戻り、クーラーを利かせた部屋で涼んで銭湯に行く毎日。でも、ところどころ少し様子がおかしいのです。

 翌日、部室にタイムマシンが登場。そのタイムマシンに乗って「今日」のSF研究部員が、「昨日」にタイムトリップしちゃいます。どうりで様子がおかしかったわけです。真木よう子が「昨日」撮った写真に、「今日」の部員が写りこんでいる動かぬ証拠までありました。

「昨日」に行った目的は、部室のクーラーのリモコンが壊れてしまったので、壊れる前の時間に行って取り戻してこようというもの。クーラーはリモコンでしかスイッチが入らなかったんですね...。1日タイムトリップするといっても戻れるかは未知数。そんな危険を冒してまで取り戻したいクーラーのリモコン。寒くて寒くて外に出るのも億劫で、布団からも出るのに勇気がいる今の時期からはちょっとだけ?いや結構うらやましいその暑さです。

 灼熱の太陽、クーラー代わりに扇風機を追い求める様子、挙句の果てには室外機の風にまであたる部員。暖房ガンガンに利かせ、こたつに潜り込んで鑑賞していた筆者には、それこそ超大昔のことのように感じられました。

 しかしながら夏日まっただ中の瑛太たちにとっては死活問題。そりゃ必死になるわけで。ですが、過去を変えたら現在が変わり今も消えてしまうかもしれないという部活顧問(佐々木蔵ノ介)からの一言で、慌てて「昨日」と「今日」を往復しまくって過去を変えないように大奮闘。色々と、つじつまが合うような合わないような、その絶妙なおかしさはぜひ本編をご覧ください。極寒の今観てこそ、夏を疑似体験できますし、ひと時の寒さも忘れられること請け合いです。

(文/森山梓)

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