『キリマンジャロの雪』を観て、「愛だろ、愛」というセリフがよぎりノスタルジックな気持ちになった。
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舞台はフランスの港町、マルセイユ。労働組合で委員長を務めるミシェルは会社のリストラでクビになります。総勢20名の退職者をクジで選ぶことになったのですが、彼は委員長の権限でリストラ対象から外すこともできたのにも関わらず、自身の名前もクジに入れていたのです。ミシェルは妻マリ=クレールにそのことを告げるも、彼女はそんな夫を受け入れます。
その夫婦の結婚30周年を祝うパーティー。孫たちの合唱「キリマンジャロの雪」と共に、二人の夢だったアフリカ・キリマンジャロへの旅が家族からプレゼントされます。ところが、このサプライズが思わぬ事態を招くのです。
なんと強盗に入られ、金品やカードと共に、キリマンジャロ行きのチケットを盗まれてしまいます。また、ミシェルは腕を負傷し、マスクをした強盗二人に押し入れられた際に居合わせた家族は深く傷つきます。数日後、犯人の一人がミシェルと一緒にリストラされた青年であることが判明します。そして、その青年が幼い弟二人を養い、生活に行き詰っての犯行だったことが明らかになります......。
ミシェルと妻マリ=クレールのこの後とった行動が泣かせます。ネタバレになりますが......犯人の弟二人を引き取り、面倒をみてあげようというのです。夫婦の暮らしも、広告の折り込みチラシの仕事をしたり妻も働いていたりと決して裕福なものではないのに。さらに感心したのが、夫婦は相談することもなく、同じ考えだったのです。
夫婦は似てくるとよく聞きますが、考え方や価値観が近い方が絶対うまくいきますよね。彼ら夫婦がとった行動が正解かはわからないし、正解なんてそもそもないことかもしれません。でも、人生を左右するような出来事に直面した時、人生を共にするパートナーが同じ方向を歩んでくれることは、とても幸せなことだと思いました。そんな相手に出会えたことが何よりも素敵ですよね。私も今いる相手がそうであってほしいです。と、パートナーを見つけたら言ってみたいものです。
(文/森山梓)