自分の老後がひたすら心配になったときに、観ておきたい1本 『ショーシャンクの空に』
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芸能人がもっとも「好きな映画」に挙げることでも知られる、映画『ショーシャンクの空に』。映画通の人からは「話がデキすぎていて、好きになれない」「有名すぎる作品はちょっと...」なんて声も聞こえてきそうですが、「絶望の日々」「退屈な日々」と向き合う人にとって、これに勝るビタミン剤映画はいまだかつてないのでは。
妻殺しの汚名を着せられて、冤罪にも関わらず終身刑を命じられた弁護士・アンディー。ゲイに「掘らせろ!」とお尻を狙われてボコボコにされたり、所長の犯罪の手伝いをさせられたり、かわいがっていた年下青年を殺されたりと、とにかく辛い目に遭い続ける...という普通の人なら死にたくなる目に遭うわけです。
が、このアンディーは周囲にほとんど友達も作らず、持ち前の頭の良さ、計画野緻密さなどを持って、なんとか刑務所の中でうまく生き抜いていきます。彼の計画性、カリスマ性、頭の良さなどに魅了され、何度もこの作品を観てしまう人も多いのでは。
でも、こういう生き方はアンディーのように頭がよくて意志の強い人間だからこそできるもの...という気も。同作のなかで、そんな彼の希望ある生き方とは対比的に描かれているのが、最年長の服役囚だったブルックス。50年も刑務所に収監されていた彼に、ある日恩赦で仮釈放がおります。でも、半世紀近くも収監されていれば、当然世の中は移り変わっているわけで。
店主にいびられながら、スーパーで働くブルックス。せっかく社会に戻ってきても、愚痴を言う家族も親類も、そして友達もいない。仲が良かった刑務所仲間には、誰にも会えない。休日があっても何もすることがない。
打ちひしがれる彼の姿を見てると、思わずきゅんと心が痛みます。次第に彼は、「もはや社会に自分の居場所はない。刑務所にいたときのほうが良かった」という想いを抱えて、自殺という道を選んでしまいます。そんな彼の生き様を見ていると、人との交流が生きる上でいかに大事か痛感します。私のように友達がいなくて、日頃から誰とも話をしない日も多い人間にとっては、数十年後の自分の姿を見ているような気がしてなりません。
しかも、最近、海外では「長生きする人は他人とつながりがあるケースが多い」「人の寿命の長さは『コミュニケーションの有無』が大きく左右する」という研究もなされているとか。周囲に心を割って話ができる人がいないという状況、ますますヤバいってことですね。
まずは、人見知りを克服すべく、今後1日最低1人とは話をするように心がけていこうと思います。
(文/ハリ山トゲコ)