もやもやレビュー

細胞レベルから湧きだす明るさに進んで気押されよう。『ロシュフォールの恋人たち』

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 皆さまごきげんよう。じっとり暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。ビールよりもパーっと憂さを晴らしてくれそうな『ロシュフォールの恋人たち』を観てみました。
 1967年のフランス映画で、若き日の可憐なカトリーヌ・ドヌーヴ先輩とその実姉の演じる双子姉妹が主役です。

 ミシェル・ルグラン先輩のどこまでも明るい音楽に乗せてパステルカラーのファッションに身を包んだ男女がところ構わず歌って踊りまくります。細胞レベルから日本人とはちがう陽の気がバンバンに出ており、湿気も憂鬱も吹っ飛びます。だいたいみんな色恋のことしか考えていません。たとえば男性2人組が「君たちと寝たい」と双子姉妹に持ちかけ、姉妹は「どうしてすぐそういうこと言うの?」となりますが、舌の根も乾かぬうちに姉妹は「あの2人組の愛は本物かしら?」と互いに相談しており、全身全霊で突っ込みたくなります。多分、いや絶対本物じゃないと思うよー!

 また、殺人事件のエピソードが少しだけ登場するのですが、そのリアクションがまたみんな軽い。殺人があったからと言って必ずしも深刻にならなくたって良いというのは衝撃的でした。ここもまたDNAの違いなのでしょうか? 

 私たちは友だちがいないだの恋人ができないだの仕事でミスしただの何かと深刻になりすぎなのかもしれません。命に関わる問題ですら明るく受け流すフランスの人たち(時代背景もあると思いますが)を見習ってみるのもいいかもしれません。多少の悩みは忘れて、ここはひとつ、画面の前で作中の人たちと一緒になって歌って踊ってしまいましょう。

 双子姉妹もこう歌っています。「悩みはあっても夢がいっぱい」! おそらく問題そのものは解決しないと思いますが、ラテンの血に倣って「この問題、大したことないじゃん!」と思えたらこっちのものです。

(文/小野好美)

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