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賢く生きれば、人生はもっと明るい。『テス』

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 最近、美醜について考えています。「美人とそうでないのとでは、結局どちらが幸せか」という答えのない問いにモヤモヤしているんです。やっぱり女子である以上、美人になりたいとか思うわけです。が、見た目が美しければそれだけで人生バラ色なのかと思いきや、どうやらそうでもないらしいです。『テス』を観てそう思いました。

 美少女のテスは、貧しい家を助けるため、遠い親戚であり貴族のダーバヴィル家へ物乞いに行かされます。しかしその実、一家はお金で家名を買った成金。その放蕩息子・アレックに見初められたテスは、一家の持つ農場で奉公することに。しかしある夜アレックに犯され、情婦にされてしまいます。実家へ戻ったテスはアレックの子どもを産みますが、その子どもはすぐに死亡。絶望に暮れたテスは別の農場へ奉公に行き、そこでエンジェルという青年と恋に落ちて結婚します。ところが、テスの過去を知ったエンジェルは、彼女を残して旅に出てしまいます。テスは実家へ戻るも、父親が死んでしまった家は貧困を極め、しかたなくテスはアレックの援助を受けることに。やがてテスを許したエンジェルが彼女を迎えにくるも、テスは再びアレックの情婦として暮らし始めており、エンジェルを追い返します。が、やはりエンジェルとの愛を選んだテスは、アレックを刺殺。逃亡の末、最終的に自分も処刑されてしまうというのっぴきならないお話です。

 若かりし頃のナスターシャ・キンスキーが演じるテスが、とにかく美しい! 観賞中は少女性を携えつつも官能的なテスの表情に魅了されっぱなしになるのですが、だがしかし不幸! テスはその美しさが足枷となって、しなくてもいい苦労をしてます。ナスターシャ自身も最近、子どもの頃のあるトラウマをカミングアウトしており、とにかく美人は美人で大変な模様。
 
 で、結局テスはどうすれば幸せになれたのでしょう。
 多くの人は、愛するエンジェルを選べと言うはずです。私もそう思います。当時の時代背景や宗教的観点からすると、彼の言動は仕方なかったのだろうとも思います。でもね、エンジェルはテスに豪華なアクセサリーをプレゼントするのですが、それは結局「綺麗な装飾品を身につけた美しいテス」に彼自身が満足しただけで、テスの本質を見ていなかったのだろうと思います。だからテスの過去を知った途端、彼女を汚れた女扱いしてしまったわけで。
 一方、アレックはどうしようもない金持ちの男だけれど、食べ頃の苺の美味しさや口笛の吹き方を教えてくれたり、テスだけでなく彼女の家族まで面倒を見ようとする懐の深さがあります。お金で地位を獲得した家の息子だからこそ、お金で買えないものへの憧れが強かったんだと思います。だからこそ、テスに執着したんだろうと。そして、自分からの援助を頑に拒否するテスに、アレックはこんな言葉をかけます。「賢く生きれば、人生はもっと明るい」と。

 自分の人生をいまより良くするためには、物事を現実的に考える頭が必要で。したたかに生きるか、苦労しながらも自分に正直に生きるか。どちらを選択するかは自分次第。そこに美醜は関係ないのかもしれません。

(文/ペンしる子)

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