もやもやレビュー

『ボビー・フィッシャーを探して』を観て、親父の背中を蹴りたくなった。

ボビー・フィッシャーを探して [DVD]
『ボビー・フィッシャーを探して [DVD]』
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> LawsonHMV

 父親がモンスターハンターにはまっています。下級モンスターに惨殺されるらしいです。

 公園でならず者の大人たちのチェスを見ているうちにチェスの魅力に引き込まれた7歳の少年ジョシュ・ウェイツキンは大人たちが驚くほど天才的なチェスの才能を発揮し、アメリカが生んだ天才チェスプレーヤー ボビー・フィッシャーの再来だと騒がれます。

 普通の子供に育ててあげたい母親と違い、類まれなジョシュの才能に惚れこむ父親は彼にチェスのコーチをつけ、プロを目指して英才教育します。そんな父親の期待に応えるため、ジョシュはその後も数々の大会を総ナメにしていきます。そしていよいよ子供チェス全国大会を迎えたジョシュでしたが、そのころには父親や周囲の大人の期待は大きなプレッシャーに変わり、彼にとってチェスは楽しいゲームではなく、周囲の期待を裏切ることの許されない戦いになってしまっていました。重圧に耐えきれずまさかの一回戦敗退をしてしまうジョシュ、父親は息子に落胆し、激怒しますが、やがてスランプの原因が自分自身にあることを知り、ジョシュとの関わり方を大きく改めていきます。チェスのプロを目指す生活ではなく、家族での楽しい日々を過ごしたジョシュは再び本来の楽しいチェスを取り戻し、次の全国大会で因縁のライバルとの決勝戦に臨みます。

この『ボビー・フィッシャーを探して』は1993年公開のアメリカ映画で、実話を元にした作品です。つまり7歳の天才チェス少年は実在したのです!! かっこいいなおい。ずるい。この映画で僕がいいなと思ったのは父親の姿です。この映画の中で彼は7歳の息子にチェスで惨敗します。そして父としてのプライドを砕かれたにも関わらず、すぐに全力で彼の才能をサポートすることを決めます。授業料を払い、全国の大会に付き添います。まあ子供が生まれれば誰しもが親バカなのでここまではよくある話と言えばそうかもしれません。ただ、自分の期待が子供にとってのプレッシャーになっていると気づいた時、彼は言います。「やめてもいい、好きなようにしなさい」と。そしてチェスから離れ、親子で釣りやピクニックに行くのです。これはなかなかできません。親が子供に自分の間違いを認めるのは案外難しいんです。でも本当にでかい背中は息子に対していばったりしないんです!
かっこいいぞ親父!!
 
 思えば僕の父親もなかなかにナイスな親父でした。いつもニコニコ明るく笑っていました。野球が大好きでしたが僕には決して強制しませんでした。むしろ僕のテニスの試合を可能な限り応援にきて「楽しかった、ありがとう」とか言っていました。自分が左利きを直されたのが辛かったから僕の左利きは一切矯正されませんでした。自分が大学に行かなかったのを後悔して、全力で大学進学を支援してくれましたが、勉強をしろとかは言われませんでした。今思い出すとなかなかでかい背中です! うん。 ありがとう! と言いながら蹴りたいです。 なんかこの文章だと親父もう死んじゃってるみたいですが、全然生きてます! 今日も元気にモンスター狩ってます。いや、狩られてます。

早く父親として息子に大きな背中を見せてやりたくなる、でもその前に結婚しなきゃ、でもでもその前に彼女ができなきゃ、でもでもでも家族ってその苦労をしてでも価値のあるものかもなと思わせてくれる素敵な映画です。

(文/前髪ナガレ)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム