もやもやレビュー

いにしえからの男女観に思いを馳せてしまった『フローズン・タイム』

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 皆さまごきげんよう。以前住んでいた部屋は浴室のドア枠の木が腐っており、毎日採っても採ってもキノコ生え放題!という景気のいい話を知人から聞き、粘菌類の生命力に頭が下がる今日この頃です。

 さて『フローズン・タイム』の主人公ベンくんは何とも弱腰なナードくんです。彼女が烈火のごとく怒り、わめき、物を投げつけてきても何も言えずに直立不動。元カノの写真をエイと燃やそうとするも、やっぱりできなくて写真をそっと引き出しにしまう。弱い。弱いぞベンくん!
 
 ある時ベンくんはうっかり元カノとチューしてしまい、新しい恋のお相手である女の子に見られてしまいます。ショックで走り去る女の子。ベンくん走れ!女の子が走り去ったら、「追いかける」しかコマンドはないんです!
・・・と思ってここで気付いたのですが、果たして本当にそれが唯一の選択肢なのでしょうか?

 普段は「男女平等」を標榜して家事や子育て(夫も子もまだいないけど)の分担を掲げておきながら、ごはんに行ったらおごってもらい、ケンカになったら追いかけてきてもらう、それが当然、などと恋愛っぽい局面になると急に性差を主張するのも矛盾した話。「男におごってもらうなんて言語道断!」というフェミ主張も分かる。「おごってもらえるなら楽しく飲めばいいじゃん♪」というちゃっかりお気楽な気分もある。さらにその陰にはひっそりと「私・・・待つわ」的な昭和の香り漂う、旧い受け身の女も発見。目を逸らしたくなりますが全部、受け継がれてきた縛りと新しい価値観に挟まれた、私たちの世代が抱える女の側面。

 社会的には男女平等でありたいけれど、身体の作りや得意分野がちがうのもまた然り。それであれば性差をあえて楽しむのが恋愛においては一番賢明なんでしょうか。心地よくバランスの取れるポイントは、これからも体当たりで自分自身が探していくしかなさそうです。

(文/小野好美)

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